MONTHLY FEATURES 今月の特集
冷えてますよ、筑後のお酒
SAKE OF CHIKUGO
九州を代表する酒どころ筑後は、日本酒の顔ぶれも個性的。蔵元のこだわりから、夏を彩るお酒、嗜み方まで紹介。さぁ、まずは1杯。
福岡の日本酒業界をリードする筑後
ここ数年、和食だけに留まらず、様々なジャンルの飲食店で日本酒に力を入れるお店が増えてきた。さらに海外での日本酒人気の高まりや、女性を意識したスパークリング、にごり酒など新たな市場を切り開くべく挑戦を続ける蔵元もある。日本酒業界は変化の時を迎え、一昔前より間違いなく日本酒の扉は多くの人を受け入れるべく開いている。
かつては「日本三大酒どころ」として、兵庫の灘、京都の伏見、福岡の城島といわれたほど酒造りが盛んな福岡。そんな福岡の日本酒業界をリードしているのが筑後だろう。久留米市内だけでも14の酒蔵があることからも、筑後は日本酒との出会いの宝庫といえる。
豊かな自然溢れる筑後は良質な米がとれる。そしてこの地方を代表する筑後川や矢部川などの恩恵を受け、酒造りに欠かせない水もある。そんな土地柄をベースにし、酒蔵ごとに製造方法のアプローチが異なり、同じ筑後で造られた酒でも、香りや味わいなど性格が全く違うから実に面白い。だからこそぜひ酒蔵に足を運び、お気に入りの蔵、そして一杯を見つけることをおすすめしたい。
冷酒やオンザロックで日本酒を味わう。そんな光景が似合う季節に、改めて日本酒と向き合ってみてはどうだろう。知れば知るほど楽しい日本酒の世界があなたを待っている。
筑後には世界一に輝いた酒がある
一滴に想いを込めた酒造りを体現
世界一の日本酒が八女で造られていることをご存知だろうか。約200年続く八女の蔵元、[喜多屋]。世界でも影響力のあるコンペディションとして知られる「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で、2013年、583銘柄の中から最優秀賞を勝ち取った。量から質への転換を図り、世界に通用する日本酒造りを掲げる7代目・木下社長は、自らも蔵に入り研究を続けた。老舗の看板にあぐらをかくことなく、常に挑戦する姿勢が世界一の酒を生み出した。
杜氏、蔵人、米の生産者など全ての情熱が結集した「大吟醸 極醸 喜多屋」。矢部川の伏流水を仕込み水に、米は糸島産の「山田錦」を使用。自然の重力によって酒袋から滴る分だけを集める「しずく搾り」。この贅沢な技法を用いることで、透明感のある酒になる。華やかな香りと芳醇な味わいが秀逸な大吟醸は、ぜひ冷酒で味わって欲しい。
株式会社 喜多屋
電話番号 | 0943-23-2154 |
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住所 | 八女市本町374 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 土日祝日 |
駐車場 | あり |
この季節ならではの夏酒はいかが?
夏に美味しく飲めるお酒を通称「夏酒」という。
キリッと冷やして楽しむものから、爽やかなテイストまで様々なタイプの夏酒が蔵元から販売される。
日本酒業界の夏の風物詩を堪能してみて。
華やぐ香りにうっとり
米は福岡県産の「山田錦」と「夢一献」、仕込み水は筑後川の伏流水。地元の原料にこだわり、140年に渡って酒造りを続けてきた老舗酒造。酒を搾ってすぐに瓶燗(瓶詰めして火入れする)して低温貯蔵することで、香り高くキメ細かな味わいに熟成するのが池亀の酒だ。飲み頃に冷蔵庫から出してすぐに出荷するため、一番美味しい状態で口にすることができる。焼酎に使われる「黒麹」を日本酒に取り入れた「黒兜」は芳醇な飲み口を生み出し、ワインが食文化に根付くアメリカ・ヨーロッパなど海外でも人気を博す。
夏には果物を使ったリキュールや、キレの良い「さわやか夏の純米酒」が好評。清涼感たっぷりのお酒を、気分や料理に合わせてチョイスして。商品は酒蔵の敷地内にある直売所「かめのこ」でも購入可能。ドライブがてら立ち寄ってみては。
池亀酒造 株式会社
電話番号 | 0942-64-3101 |
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住所 | 久留米市三潴町草場545 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
駐車場 | あり |
ワインのような日本酒
大正11年の創業当時から続く伝統の製法で、手造りにこだわった酒造りを続ける「みいの寿」。伝統を守るだけでなく革新的な要素も取り入れ、日本はもちろん世界でも注目を集めている。ワインと見間違えてしまう、デザイン性の高い「イタリアンラベルシリーズ」はその代表格。セミのイラストが描かれた「Cicala(チカーラ)」は、シリーズ第一号となる夏酒だ。リンゴ酸を多く出す酵母を使用することで、スッキリとした酸味とキリッとした飲み口に。ぜひワイングラスに注いで、軽快なキレ味と爽やかな香りを堪能してほしい。
株式会社 みいの寿
電話番号 | 0942-77-0019 |
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住所 | 三井郡大刀洗町栄田1067- |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 土日祝日 |
駐車スペース | あり |
暑い日にゴクゴクと
山口酒造場の代名詞とも言える日本酒が「庭のうぐいす」だ。軽やかな飲み心地とうぐいすの絵が可愛らしいラベルは女性や若者の支持を集め、全国的にも注目されている。江戸末期の創業以来、大量生産ではなく質の高さにこだわった酒造りを粛々と続けて180年。目指すものは「お代わりしたくなる酒」。料理の味を引き立てる「食中酒」として楽しめるよう、香りは控えめに、口あたりはスッキリと。初夏限定「なつがこい」は、他の純米酒に比べて酸度が高め。夏の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれる、そんな爽快な味わいが魅力だ。
合名会社 山口酒造場
電話番号 | 0942-78-2008 |
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住所 | 久留米市北野町今山534-1 |
営業時間 | 8:30~17:30 |
定休日 | 土日祝日 |
駐車スペース | あり |
プロに聞いてみました!日本酒の嗜み方
日本酒を知り尽くすプロが、日本酒の基本から料理との相性、酒器の選び方までレクチャー。
日本酒と料理のマリア―ジュを探る
日本酒を知るにはまずは基本をおさえておきたい。純米酒は米・米麹・水だけで造られ、醸造アルコールが入っていない日本酒のことを指す。米の味わいが強いのが魅力とされる。醸造アルコールを添加し、精米歩合(原料米の削り具合を表す数値)が60%以下を吟醸酒と言い、飲み口の軽さやスッキリした味わいが特徴だ。
「原料が米なので米に合う食べ物には基本的に何でも合います。それだけ日本酒は懐が深い」と橋爪さん。料理に合わせて引き立て役にも、主役にもなれる柔軟さがありがたい。ただし、「濃い料理に薄い味の日本酒を合わせるのは、味が負けてしまうので避けた方が良い」と話す。昔から土地の食べ物にはその土地の酒が合うとされるが、それには理由があるという。「代々地域に合わせた酒造りが行われてきたので、蔵元が海側にあれば海の料理、山側にあれば山の料理を頼んでください」。蔵元や銘柄を知ることで日本酒と料理の最高のマリア―ジュが見つかるはずだ。
日本酒を楽しむ上で和らぎ水(日本酒と一緒に飲む水)の存在も意外と重要だという。「深酔い防止だけでなく、口の中をリセットできるので次の一杯をより楽しめます」。
繊細なお酒は低温保存で早めに飲みきる
日本酒を家で楽しむ人も多いだろう。そんな時に気になるのが保存方法だ。「お酒は封を切ると劣化が早まり、同時に熟成も進行します」。酒の資質によっては、熟成の旨味が劣化を凌駕する場合もあるとか。そんな自分好みの味を発見するのも粋な嗜み方だ。一方で変化して良いものと、してはいけない銘柄があり、蔵の特徴によっても違うので見極めには経験が必要になる。「低い温度で保存すると劣化と熟成のスピードが遅くなるので、一般的な保存方法は冷蔵庫での保存です」。特に繊細なお酒は早めに飲みきる方が良いそうだ。
味わいが変化する酒器にこだわる
お酒の味は酒器の形状や飲み口の厚みによっても変わる。「例えば燗酒は飲み口が広い杯で少しずつ口に含み旨味を楽しむ。香りの高いお酒はワイングラスの中で香りを十分留めてから飲むことで、一層豊かな風味を感じることができます」。木、陶器、磁器など器に使われる材質も様々。ガラスは味をシャープに、磁器は味を柔らかくするとされる。「夏場に冷酒を飲むなら、冷たさが伝わる錫の酒器を使うのが良いかもしれません」。日本酒の特徴や好みの飲み方で酒器を使いわけるのはツウな楽しみ方といえる。
日本酒処 巡る
電話番号 | 0942-27-8338 |
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住所 | 久留米市小頭町2-13 パーク小頭1F |
営業時間 | 18:30~24:00 |
定休日 | 日曜 |