MONTHLY FEATURES 今月の特集
珈琲に夢中
遠い暑い国からやってくる、小さな珈琲豆。
この豆に宿る不思議な魅力を人々が知り、現在のような珈琲を作り出したのは500年以上も昔のこと。
昔から人を惹きつけてやまない、あの香り、味。
大人になった今こそ、本当に美味しい珈琲を探すのもいいかもしれない。
自分好みの珈琲に出会おう
いざ、どんな珈琲が好みか?と問われると「苦いのはイヤ」「酸味が強いのは苦手」など、漠然としか分からない人も多いのでは。事実、ひと昔前の珈琲は、苦味が強すぎたり雑味があったりしたので、これぞと思うものがないのも当然かもしれない。
そのため珈琲といえば砂糖やコーヒーフレッシュが添えられることが多かったし、「アメリカン」は湯を足して薄くしたものだと勘違いしている人も少なくなかった。その頃と比べると、ここ20年ほどで珈琲の楽しみ方は大きく変化をしたようだ。海外発のカフェもおなじみとなり、珈琲の飲み方も、店頭に並ぶ豆の種類や味わいも多様になっている。
珈琲はフルーツであり農作物のひとつ
珈琲豆を包んでいる珈琲の実は、別名「コーヒーチェリー」とも呼ばれる、サクランボによく似た真っ赤な果実だ。昔、ヤギがある木の実を食べて興奮状態になり、それを不思議に思ったカルディという名のヤギ飼いが修道士に相談した。修道士が珈琲の実を茹でて飲んでみたところ、たちまち爽快な気分になった…というのは珈琲発見にまつわる有名なエチオピアの伝説だ。赤い美しい実は、まるで〝魔法の木の実〟のように魅力的に見えたのかもしれない。
コーヒーチェリーはそのままで食べても甘くて美味しい。他の農作物と同様で、品種や地域、天候によって特性に違いが表れる。日照により酸味が出たり、雨で傷がついたり…生産者が丁寧に、コツコツと世話をして作り出す、それが珈琲なのだ。
珈琲本来の美味しさを味わって
自分好みの珈琲豆を探すなかでぜひ味わっていただきたいのが、珈琲専門店が生産者から直接買い付けた豆を自家焙煎し、その場で挽いて丁寧に淹れる珈琲だ。香りは芳しく、雑味がなくスッキリとした爽快感、ほのかな苦味、コク、珈琲がフルーツであることを思い出させる甘さと酸味。これらのバランスが、珈琲の美味しさを決める。
一部の選りすぐりの珈琲には「スペシャルティコーヒー」と呼ばれるものも。珈琲豆からカップに至るまで、全工程において品質管理されているものを指し、もちろん久留米市内でも味わうことが可能。珈琲のとらえ方がガラリと変わる一杯に、ぜひ出会ってほしい。
お気に入りの珈琲豆の見つけかた
産地と品種を参考に試して記憶するのが近道
珈琲豆がズラリと並ぶとどれも一緒に見えてしまうが、それぞれ気候や標高、土壌が生む特性があるので、選ぶ際の目安にしたい。例えば、珈琲発祥の地であるエチオピアやタンザニアなどアフリカ系は、フルーティーな酸味が残るタイプで、スッキリとしている傾向。酸味が少なく、豆本来の渋みや苦味があるのがブラジルやインドネシアなど。コクがありながら苦味・酸味のバランスがよく、後味がクリーンなのがグアテマラやジャマイカなど。一度試した味をよく覚えておけば、次の豆を選ぶときにも役立ちそうだ。
ダイレクトな「ストレート」orマイルドな「ブレンド」?
珈琲豆には大きくわけて2つあるのは覚えておこう。「ブラジル」「エチオピア」など単一の産地の名前がついたものは「ストレート」といい、豆本来の味や産地の特徴をダイレクトに味わえる。エッジが効いたものに出会える反面、その豆の出来栄えによって味にバラつきがある可能性も。「ブレンド」は複数種をバランスよく配合して新しい味を作ったもの。味わいがマイルドで、品質や価格が安定しているという特徴もある。
- 焙煎後10日以内で使い切ることを目標に
- 珈琲豆は、焙煎直後より風味が安定する3日後くらいが飲み頃。そして10日を過ぎると香りが抜けていく。珈琲豆を挽くのも飲む直前が理想的。自宅で珈琲を淹れる際の道具に合わせ、店で粉砕度合いを調節してもらおう。いずれにしろ、時間とともに風味が損なわれるので、なるべく早く味わいたい。
- 甘味を感じる上質な「酸味」を楽しもう
- 珈琲の酸味を苦手と感じる場合、その多くは雑味を伴ったもの。フルーティーで爽やかな酸味には、フルーツらしい甘さやみずみずしさもあり、後味も爽快。珈琲を飲んで酸味を感じたとき、どんな性質の酸味なのかをじっくり味わってみるのがおすすめ。心地よければまた飲みたくなるかも。
- 浅煎りはフルーティーに、深煎りは香ばしく
- 同じ豆でも焙煎(ロースト)度合いで味わいも変化する。基本的には深く焙煎すればするほど、香ばしさが増し、酸味より苦味が強くなる。フルーティーな味や豆本来の個性を楽しみたい場合は、浅煎りの方がおすすめ。品種によっては深煎りでも酸味が残る場合もあり、最高の味をいかに引き出すかが焙煎の醍醐味でもある。
シンプルだけどかなり美味しい おうちでハンドドリップ
- こんな道具があればGOOD!
- ●ドリッパー
●珈琲フィルター
●温度計
●キッチンスケール(量り)
●細口ケトル
(ない場合はヤカンでOK)
- 開封後の保存方法は?
- 保管場所に適しているのは涼しく乾燥した暗いスペース。密閉容器に入れて保存しよう。長期保存の場合は保存用のビニール袋に入れ、冷凍庫へ。1ヶ月くらいは保存ができる。
いざ、ハンドドリップにトライ!
計量
豆のままでも挽いた粉でも同様に、珈琲1杯につき15gを測る。正しい量で淹れることが、味を安定させる第一歩。
測温
多めの湯(約400cc)を一度沸騰させ、しばし冷ます。温度計を入れ、温度が90度まで下がればOK。
豆の状態の場合は、挽いておく。蒸らし
ドリッパーにペーパーをセットし、準備。
粉全体が浸るほどの湯を注ぎ、蒸らす。50秒ほどして、全体がふわっとドーム状に膨らめば蒸らし成功。ドリップ
4~5回に分け、トータルで約250ccの湯を注ぐ。できあがりは200ccに。抽出始めから2~3分が目安。
ハンドドリップ監修:COFFEE COUNTY
自家焙煎珈琲豆を購入できる店
久留米近郊の専門店に、それぞれ自慢の一品を挙げてもらった。
前ページのチャートを参考にして、お気に入りの珈琲豆を探しに立ち寄ってみては。
COFFEE COUNTY KURUMERoastery & Cafe
“ザ・ミドル” (200g) 1,500円
フルーティーさと柔らかなボディの
中煎り焙煎のコロンビア2013年に久留米にオープン。店主は自ら生産地に飛び込んで、農園に住み込みで珈琲づくりを根本から学んだという。現地での生活で得た経験と刺激をベースに、日々焙煎を行っている。珈琲が本来もつ個性を最大限に生かし、飲み心地の良い美味しさを表現するため、焙煎は比較的浅め。みずみずしく爽やかで華やかな一杯は、もしかすると珈琲というもののとらえ方も変えてしまうかも?
あだち珈琲久留米店
あだちブレンド (200g)1,188円
中米の豆をメインにブレンドした
スペシャルティコーヒー“from seed to cup(=一粒の種から一杯のコーヒーまで)”を理念に、栽培から輸送、焙煎、抽出まで一貫して管理した珈琲豆を販売する、久留米では言わずと知れた名店。店主自ら中南米など生産地に度々赴いて、輸入業者や生産者とも信頼関係を築き上げてきたからこそ、上質な珈琲が生まれる。生産地の気候や風土、文化から生まれる際立つ風味、品種がもつ特性をぜひ味わってみよう。
Bona Forscoffee roaster
エチオピアゲイシャ (200g) 1,620円
まろやかなレモネードのような味わいと
華やかな香りを楽しんで生豆の状態で良質なものだけを厳選し、常時20種以上をラインナップ。オーダーをすると味の好みや飲み方に合わせ、その場で自分のためだけに焙煎してもらえる。特別感もあり、鮮度と香り高さは格別だ。日常使いの珈琲豆から、刺激的なものやギフトにぴったりのものなど幅広く取り扱っており、お気に入りの一品が見つかるかも。注文を受けてから焙煎するので、香りを楽しみながら待ちたい。
珈琲専門店COFFEE JO
パプアニューギニア (200g) 980円
※ラインナップは随時替わるため要問合せ適度なコクと甘みに加え
バランスの良い酸味が飲み心地◎その時々で良質な生豆を厳選し、豆の個性と焙煎による香ばしさのベストバランスを考えながら丁寧に焙煎している専門店。取り扱う品種は幅広いが、店頭でのラインナップは頻繁に入れ替わるので、訪れるたびにいろいろな品種に出会える楽しさがある。店主に相談して、新しい味に挑戦するのもおすすめ。焙煎したての珈琲豆の味にこだわっており、少量をお手頃に買えるのも嬉しいポイント。
Morrow珈琲
Morrowブレンド (200g) 864円
甘味、コク、風味をバランスよく
味わえる、マイルドなブレンドもともと珈琲嫌いだったという店主が、本物の珈琲の美味しさに感動してオープンしたという店。珈琲の味をより多くの人に知ってもらいたいという想いから、“飲みやすく、毎日の暮らしになじむ珈琲”がモットー。丁寧に淹れた珈琲の美味しさはさることながら、淹れる過程やその間に立ち上るアロマも癒しだと考え、ハンドドリップ講座や食べ物とのペアリングなど、新しい楽しみ方も発信中。