MONTHLY FEATURES 今月の特集

あんこが好き

あんこが好き

どこか懐かしく、心をほっと和らげてくれる和菓子。
おはぎや饅頭に大福、どら焼き、最中など
いろんな種類があるけれど、
その多くに欠かせないのがあんこだ。
和菓子の命とも言えるあんこの優しい甘さに秘められた、
その魅力に迫る。

Jyounamagashi
Manjyu
Cream Daifuku
Dorayaki
Kaitenyaki

実はスゴい!あんこの栄養パワー

古くから日本人に親しまれてきたあんこだが、近年は栄養価の高さから意識的に食べている人も増えている。あんこの主な原料である小豆は、糖質やタンパク質、ビタミンB群にカリウム、食物繊維、鉄分などのミネラルも豊富! なかでもビタミンB1は、糖質を素早くエネルギーに変えて代謝を促すため、ここぞという時のパワーチャージや疲労回復に打ってつけだ。また、低脂質でダイエット向きなうえ、ポリフェノールやサポニンの強い抗酸化作用によりアンチエイジング効果も期待大。新陳代謝UP・冷え改善・美肌といった女性にも嬉しい効果が満載で、健康食品としての注目度も高まっている。

つぶあん、こしあんだけじゃない! あんこの種類

あんこ菓子を前にして、「つぶあん派orこしあん派」の〝あんこ論争〟を繰り広げた経験が誰しも一度はあるだろう。小豆の粒を潰さないように炊いたつぶあんは、小豆そのものの食感、旨味やえぐみといった独特の風味を楽しめる。一方、炊いた小豆を裏ごしして外皮を取り除き、砂糖を加えて練り上げたこしあんは、滑らかな食感が特徴。この滑らかさは職人の腕に大きく左右され、熟練の技が物を言う。つぶあんとこしあん共に良さがあり、甲乙つけること自体ナンセンスなのかもしれない。それに、小豆を主体としたあんこにはほかにも種類がある。代表的なところで挙げると、つぶしあんと小倉あん。聞き馴染みがないかもしれないが、つぶしあんとは粒をあえて潰して炊き上げたあんこを指す。つぶつぶ感こそないものの外皮が小豆特有の味を残しており、こしあんより小豆の風味をしっかり感じられる。そして、こしあんに蜜で煮た大納言など大粒の小豆を混ぜたものを小倉あんと言い、京都の小倉山がネーミングの由来とか。「ずっとつぶあん派だと思っていたけれど、実は小倉あん好きだった」なんてこともあるかも!?

楽しみ広がる〝進化系あんこ〟

そもそもあんことは、食材を煮詰めて練ったペースト状のもの。これまで綴ってきた小豆をはじめ、白インゲン豆を使った白あんや青インゲン豆のうぐいすあん、枝豆のずんだあん、栗やサツマイモのあんこもいまやメジャーと言えよう。最近では、オレンジピールやナッツ、ラムネといった進化系あんこが続々登場し、素材の多様化に伴って色合いもカラフルに。ちょっとずついろいろ味わえるよう、小ぶりサイズで販売する店が全国的に増えている。いろんなあんこ菓子を詰め合わせた宝石箱のようなパッケージ商品も人気を博し、現代のあんこファンをますます魅了しているのだ。

監修/日本あんこ協会

※写真はイメージです

筑後地域の和菓子店が推薦!あんこ好きに食べて欲しい逸品

長く愛される看板商品からこの時季にしか味わえない季節ものまで、
各店自慢のあんこ菓子を一挙ご紹介。
今日はどのお菓子にする?

各店にあんこの甘さ・つぶ感・質感
それぞれ5段階で表記してもらいました。
感じ方は個人差があるので、ご参考までに。

創菓堂素人残月(しろうとざんげつ)

手作り感あふれる不揃いな形も
可愛らしい、素朴な味わいの久留米銘菓

〝初心を忘れず、誠実に〟。そんな想いを込めた店名がそのまま看板商品となった「素人残月」。創業より95年、今も昔と変わらぬ製法で一つひとつ手作りし、焼きたてを提供している。ひとくちで頂ける小ぶりなサイズでありながら、生地の中には北海道産の小豆を丹念に練り上げた上品な甘さのこしあんがぎっしり。オーブンで焼き上げたサクッと食感の生地からはほんのりハチミツが香り、しっとりとしたあんことベストマッチ! どこか懐かしい素朴な味わいに、もう一個とついつい手が伸びる。賞味期限は10日間と日持ちが良く、冷凍保存も可能。5分ほどの自然解凍で美味しく頂けるのも嬉しい。

☎ 0942-39-4522[所]久留米市花畑3-18-3[営]9:00〜18:00[休]日曜[P]なし

素人残月(6個入り) 360円

菓子処富松本家(とみまつほんけ)

濃厚なクリームチーズとあんこが
絶妙にマッチした洋風大福

大正10年創業の菓子処。〝あなたもあんこが好きになる!〟をキャッチフレーズに、老舗の伝統を守りつつ時代のニーズに合わせて真心込めて作るお菓子の数々。紅茶やコーヒーと一緒に味わいたくなる和洋折衷菓子も並ぶ。口当たりなめらかな「キリ クリームチーズ」をつぶあんとモチモチの求肥で包んだ三層の「チーズ大福」もそのひとつ。小豆は十勝産、求肥は国産のもち米を使用するなど、素材にもこだわり抜いた逸品だ。ほか、季節によってクリーム・抹茶・モモ・マロン・日向夏・コーヒーといった常時6種の大福が揃う。10月から販売する「ブルーベリーチーズ大福」にも期待して。

☎ 0942-26-2521[所]久留米市大善寺町藤吉944-1[営]9:00〜18:00[休]水曜[P]有

チーズ大福  140円

阿さひ飴本舗菓蔵家(かぐらや)

大きな栗が丸ごと一個入った
極上の栗型最中は、まさに秋の風物詩

水のふるさと・朝倉の地に暖簾を出したのは、明治19年のこと。〝四季折々の野の風景や素材を丸ごとお菓子に〟をテーマにした〝あさくら野々菓子〟を目当てに、親子代々通う常連も数知れず。特産の三奈木砂糖を使った一番人気の揚げ饅頭「かりんと三奈木」にも心惹かれるが、この時季にぜひ味わいたいのが「まん栗」。香ばしい最中種の中に、一粒の栗と高品質な白ざら糖で北海道産小豆を炊き上げたつぶあんを一つひとつ丁寧に詰めた[菓蔵家]自慢の逸品だ。商品名の〝まんぐり〟は朝倉地方の方言で〝順調〟という意味で、〝まんぐりよく(順調に)いきますように…〟との願いが込められている。

☎ 0946-22-3945[所]朝倉市頓田1-2[営]9:00〜18:00[休]火曜[P]有

まん栗 270円

純華堂(じゅんかどう)

手のひらにちょこんとのる
小さなどら焼きが運ぶ、大きな“口福”

西町にあった両親の店[純鳳堂]のどら焼きを復活させたいと、母が残した手描きのメモを手がかりに当時の味を再現。2014年、市内に小さな工房を構え、[純華堂]として新たなスタートを切った。〝福が山のように訪れますように〟との願いを込めた「どら福山」は、やや甘さを控えめにした食べ切りサイズ。あんこは当時と同じ十勝産小豆、ふっくら焼き上げた生地には筑後産小麦粉や北海道産ハチミツを使用する。ほか、「どらめろん」や「どらティラミス」といった和洋折衷型のどら焼きも人気。現在は、[道の駅くるめ]での委託販売と出張販売でのみ購入でき、今後は車での移動販売も予定している。

☎ 070-5276-0121 ※道の駅くるめ(久留米市善導寺町221-33)にて販売中
※出張販売の場所や営業日及び営業時間はSNSにて要確認

どら福山 160円

菓子処はらたけ

白あん好き必食!どこか郷愁を誘う、
三潴の素朴な焼き饅頭

「地産地消認証店」と「ふくおかの農業応援の店」に認証されている三潴町の菓子処。地元のハトムギを使ったパイ生地でたっぷりのあんこを包んだ「はとむぎパイまん」や焼き饅頭「はとむぎちゃん」をはじめ、素材を活かしたお菓子作りに尽力する。皮をしっとり焼き上げた「みづまよかとこ」は、歯を入れた瞬間に純白の白あんがほろっと崩れ、優しい甘さがじんわり広がっていく。ひとくち食べると、なんだか懐かしさがこみ上げてくる素朴なふるさとの味。蒸し饅頭と違って日持ちが良く、箱詰め商品は贈答品としても喜ばれている。お店のオンラインショップからでも購入できるので、ぜひご賞味あれ。

☎ 0942-64-2502[所]久留米市三潴町玉満3001[営]9:00〜19:00[休]水曜[P]有

みづまよかとこ 95円

和菓子処とらや

大粒小豆ならではの贅沢な
濃い味わいで愛される名物おはぎ

選び抜いた素材を使い、季節感を大切にした和菓子作りをしている[とらや]。なかでもあんこへのこだわりは相当なもの。商品ごとにあんを練り、幾つもの自家製あんこを使い分けている。そんなココのイチオシは、北海道産大粒小豆の旨味を最大限に引き出した「おはぎ」。粒が大きいゆえに味が濃く、小豆本来の風味が口いっぱいに広がる。なかのもち米は、炊いても硬くなりにくく上品な甘みと粘りが特徴の佐賀県産「ひよくもち」。あんこの甘さは控えめだが、素材の美味しさが際立った満足感ある逸品となっている。また、大粒小豆のあんこをいっぱいに詰めた「最中くちなしのや」や「ぎんつば」もおすすめ!

☎ 0942-32-1472[所]久留米市京町234-1[営] 9:00〜18:30[休]火曜[P]有

おはぎ 108円

(株)マルミ商会あごすけ饅頭

あごが落ちるほど美味しい!?
久留米発祥の「あごすけ饅頭」

発売から53年、子どもからお年寄りまでたくさんの市民に親しまれる久留米のソウルフード。目の前で焼き上げられる「あごすけ饅頭」の甘い香りにつられて、つい立ち寄ってしまうという人も多いのでは? 材料はすべて安心安全な国産で、王道の黒あんは大自然が広がる北海道十勝で育った上質な小豆100%。小豆のふくよかな味わいと香りに、一度食べたらやみつきに。あまりの美味しさからあんこ単体でも販売されており、饅頭とセットで買っていく人が後を絶たない。ほか、「白あん」や「チョコチップカスタード」、季節限定の「栗くりあん」もあるので、いろいろ買って食べ比べを楽しんでみて。

☎ 0942-34-9183[所]久留米市東町316-2 西鉄久留米駅ビル 西鉄ストア久留米タミー店1F[営]9:00〜20:00[休]不定※西鉄ストア久留米タミー店に準ずる[P]近くに有料Pあり

あごすけ饅頭(黒あん) 100円

楢橋梅月堂(ばいげつどう)

あんこの上品な甘さがあとを引く、
風味豊かな本格しるこにほっこり

お菓子ひと筋140年。久留米の市木・市花をモチーフにした「久留米椿もなか」「久留米つつじサブレ」や、小豆のあんこを上質な生地で包んで焼いた「筑後路の四季」など、詩情豊かな筑後の心をしたためたお菓子は、しみじみとした趣がある。あんこを使った多くの銘菓が並ぶなか、5代目店主が選んでくれたのが、冷え込む秋冬にぴったりな「おしるこ」。さらしあん・砂糖・葛粉が隠された最中をお椀に移し熱湯を注ぐだけで、味わい深いおしるこの出来上がり。上品な甘い香りがふわっと立ちのぼり、水分でとろ〜んとなったハマグリ型の皮が可愛くお椀に浮かぶ。お餅や茹で小豆、クリームを入れたアレンジも◎。

☎ 0942-33-1661[所]久留米市南薫町1615-1-2[営]9:00〜18:30[休]日曜[P]有

おしるこ 180円

喜久屋(きくや)

北海道産の大粒な小豆を使用。
知る人ぞ知る絶品どら焼き

城島の地酒を使った「酒まんじゅう」が名物の[喜久屋]。昭和25年の創業より、こだわり抜いた材料と製法で職人が一つひとつ手作りしている。ふわっふわの生地でつぶあんを挟んだ「どら焼き」は、とにかく小豆の風味がすごい! 北海道で採れた上質な小豆の味がダイレクトに伝わってくる。聞けば、独自の製法で炊き上げ、粒感をしっかり残した甘すぎないあんこに仕上げているんだとか。一度食べれば、城島で70年愛され続けてきたこの店の凄みがお分かりいただけるだろう。つぶあん好きをうならせる自慢のあんこと、一枚一枚手焼きしたカステラ生地が奏でる絶妙なハーモニーを楽しんで。

☎ 0942-62-2277[所]久留米市城島町城島188-6[営]9:00〜17:00[休]不定※ほぼ月曜休み[P]有

どら焼き(粒あん) 156円

菓子処きくや

毎月のご褒美に…四季折々の美しさを
切り取った鮮麗な上生菓子を

昔ながらの街並みが残る八女市本町に佇む人気の和菓子店。明治35年の創業より100年以上続く老舗中の老舗が繊細な手仕事で作り出す上生菓子は、うっとりするほど麗しい。小豆のつぶあんやこしあんだけでなく、苺・林檎・夏みかんピール・ナッツ・ココア・ほうじ茶・紅茶など、いろんな自家製あんこを巧みに使用。美しい意匠と個性あふれる味わいで情緒豊かな日本の季節を表現している。11月は何をモチーフにした上生菓子が登場するのか、月替りで届ける一期一会の出会いを楽しみにぜひ足を運んで。日常のちょっとした贅沢や大切な席のおもてなし、手土産にも喜ばれること間違いなし。

☎ 0943-22-4643[所]八女市本町69[営]9:00〜18:00[休]不定[P]有

上生菓子 270円※写真は9月の「菊」