MONTHLY FEATURES 今月の特集

地酒をジャケ買い!

地酒をジャケ買い!

地元の酒蔵でうまれるお酒を楽しみたいけれど、たくさんのボトルの前に立つと、さて何を選んだらいいか…
それならまずは、見た目で選んでもいいのでは?
難しいうんちくはさておき、ピンときたボトルを手に取って。
美味しい地酒との新しい出会いに、乾杯!

地酒は選ぶのが難しい?

全国でも有数の酒処である福岡。中でも九州の大河・筑後川流域は老舗の酒蔵が数多く軒を連ねている。筑後川がもたらすいい水、その水から作られるいい米、そして酒を造る優秀な杜氏たち。この3つが結びつき、いくつもの銘酒が歴史を刻んできた。
地酒を選ぶ際に参考となるのが、〝酒の顔〟ともいうべきラベル。ラベルにはその地酒に関する情報が盛り込まれてある。原料や米の銘柄、精米歩合、酵母だけでなく、濾過の有無や火入れのタイミング、酸度や日本酒度…地酒の味わいを左右する重要な情報だが、読んでみてもいまいち分からないという人も多いはず。また、例えば「酒にどのくらいの糖が溶けているか」を示す日本酒度をとってみても、「プラスなら辛口」「マイナスなら甘口」とも限らないところが奥深いところ。酸や吟醸香が相まって複雑な味わいとなり、結局のところ「飲んでみなけりゃわからない」というわけ。

〝攻めたラベル〟には想いが秘められている

老舗酒蔵の定番の地酒は、その歴史やブランドを感じさせる格式あるラベルを纏っているが、中には地酒らしからぬラベルのものもある。ポップなイラストや、ワインのような華やかなもの――。そんなラベルの地酒は、ある意味特別なのだ。定番とは違う米や酵母を使ったり、製法を工夫していたり、伝統の技を駆使しながらも、ちょっと新鮮な試みを加えた特別な地酒たち。地酒は難しいと感じる人にこそぜひ手に取ってもらいたい、作り手たちのそんな想いがある。〝ジャケ買い〟した地酒で、奥深き地酒の世界を覗いてみよう。

山口酒造場

鶯ラベルでおなじみの酒蔵が放つ、祖父の夢を具現化した妥協なしの梅酒

1832年創業、北野町の[山口酒造場]は銘酒「庭のうぐいす」を造る老舗だ。その名の通り愛らしい鶯が描かれたラベルは見覚えがある人も多いだろう。
[山口酒造場]11代目当主の母方の祖父にあたるのが、大分県大山町で一村一品運動を提唱したことで知られる矢幡 治美氏。治美氏自身も造り酒屋の出身で、大山町の特産品である梅を使って極上の梅酒を作ることを生涯の夢として抱き続けた人だった。自身が存命中にその夢が実現することはなかったが、孫である現当主が大山町の良質な梅にこだわり、治美氏直伝のレシピをベースに「まるごとゆず梅酒」を造り出した。梅だけでなく柚子も果実丸ごと使用した、薄紅色が美しい贅沢な1本となった。
引き継いだ夢の実現、極上の梅酒への想いが込められたラベルは、定番のラベルとは全く趣向の違うもの。梅が実る様子がフレッシュに描かれ、右側には治美氏の名前も配されている。色彩が豊かで、贈り物としても喜ばれそうだ。
また、定番の鶯ラベルは季節によって登場する色違いにもご注目。桜が咲く頃の寒の戻りを意味する、桜色ラベルの「はなびえ」等、季節を表す風流な日本語を冠した彩り豊かな日本酒が店頭に並ぶ。それぞれ季節に合った味わい方ができる日本酒となっていて、季節の食材と合わせて楽しめば気分も華やぎそうだ。

梅酒

庭のうぐいす
まるごとゆず梅酒

1,870円 アルコール度数/11度
内容量/720ml

梅も柚子も、実だけでなく皮までを丸ごと使用。日本酒の風味、梅の濃厚でまろやかな旨味、そして柚子独特の爽快な酸味と苦味。トロっとする舌触りでとろけるような贅沢感もあり、ソーダ割で香りと舌触りを堪能したい。

購入はコチラから

日本酒

庭のうぐいす
特別純米

1,419円 アルコール度数/15度
内容量/720ml

最新の発酵理論や醸造技術を積極的に取り入れた[山口酒造場]定番酒。シャープかつドライな味わい。「おかわりしたくなる酒」を追求した1本。

日本酒

庭のうぐいす
純米吟醸 はなびえ

1,925円 アルコール度数/15度
内容量/720ml

毎年3月ごろから店頭に並ぶ季節商品の1つ。きめ細やかな口当たりとフルーティーな香りが心地よく、5~10℃に冷やして飲むのがおすすめ。

購入はコチラから

山口酒造場  ☎ 0942-78-2008 
[所] 久留米市北野町今山534-1
[営] 9:00~17:00 
[休] 無※正月・盆休みあり
[P] 有

若竹屋酒造場

開栓した瞬間から香るのは〝裸〟の米ならではのふくよかさ

[若竹屋酒造場]といえば、筑後地方では最も古い蔵元の一つ。酒造りに欠かせない水や米、技術は「先祖から受け継ぐものではなく、子孫から預かったもの」との哲学の下、3百年以上もの間、独創的な酒造りを続けている。
「NUDY」と名付けられたこの地酒は、[若竹屋酒造場]の酒の中でもひときわ目立つ刺激的なラベルが特徴。米の粒をかたどったスタイリッシュなラベルだが、よくよく見ると赤いのはなんとパンツ。米粒がパンツをはいているデザインなのだ。酒米の1つである岡山県産雄町米を使用し、〝素のまま〟の米が本来もつ旨味、風味を感じられる飲みやすい酒に仕上がっている、地酒としては正統派の味わい。そんな中身とは多少ギャップを感じるセクシーなラベルの案に、当初社長は難色を示したそうだが、反対意見を押し切り東京限定で発売したところ、このラベルでジャケ買いする人が続出。斬新で遊び心あるラベルは老舗酒蔵の新しい一面を開拓した存在ともいえる。
「NUDY」には別のバージョンが登場している点も面白い。火入れをしていない無濾過生原酒は、要冷蔵なので毛糸のパンツ。薄にごりのタイプは振って飲んでほしいからフリルパンツ。ちょっと大人な洒落がきいたラベル、見かけたらぜひ手にとってみたい。

日本酒

特別純米 NUDY

1,650円 アルコール度数/16度
内容量/720ml

酒米・雄町を60%精米し醸した特別純米酒。米本来のふくよかな香りと旨味に加え、甘味や酸味もほどよく感じられる。火入れをしており好みでいろいろな飲み方で楽しめるが、寒い日にお燗にすると味わいがより深くなりおすすめ。

購入はコチラから

日本酒

純米吟醸 <渓>

1,595円 アルコール度数/15度
内容量/720ml

飲み飽きしない「最後に選ばれる酒」を目指し、地元産の酒米・山田錦を醸した純米大吟醸。なめらかな飲み口、するりとした喉越しと爽やかな香り。

日本酒

特別純米
NUDY MOKO²
特別純米無濾過生原酒

1,760円 アルコール度数/17度
内容量/720ml

無沪過生原酒。火入れをしておらず要冷蔵のため、毛糸のパンツが描かれている。冷酒として、またはグラスで氷を浮かべて味わってみて。

購入はコチラから

若竹屋酒造場  ☎ 0943-72-2175 
[所] 久留米市田主丸町田主丸706 
[営] 9:00~17:00 
[休] 無※年末年始休みあり 
[P] 有

山の壽酒造

スペックはあえて語らないフリークス、つまり〝変わり種〟という酒

 耳納連山の麓、悠々と流れる筑後川のほとりで酒造りをしてきた[山の壽酒造]。従来からの杜氏制をやめ、社員がチームとなり意見を交わし合いながら酒造りをする、新しいチーム制へシフト。永く引き継いできた技術に新しい視点を加えた創造性のある酒造りが注目を集めている。
「ヤマノコトブキフリークス」は実験的に数量限定で醸造する〝チャレンジタンク〟の酒。全国新酒鑑評会金賞受賞の定番酒「山の壽 純米大吟醸 山田錦38」をベースに再設計した酒質だが、その他の情報は非公開。あえてニュートラルに味わってみてほしいという気持ちの表れだろう。
ビビッドなピンクのラベルに描かれたイラストは、久留米在住のイラストレーター・Yuukichi Inoueさんの作。お酒のある楽しい雰囲気を表現する、ポップなラベルに仕上がっている。

日本酒

ヤマノコトブキ
フリークス1

1,320円 アルコール度数/13度
内容量/720ml

原料の米や精米歩合など詳細は非公開で、実験的に醸造されたチャレンジタンクの酒。純米大吟醸をベースに設計されており、程よく華やかでフルーティーな吟醸香と上品で芳醇な旨味、甘味が感じられる1本。

購入はコチラから

日本酒

山の壽
純米吟醸 雄町

1,760円 アルコール度数/16度
内容量/720ml

雄町米使用の純米吟醸。酸味やコク、渋みなどが見事に調和。濃厚で厚みがありながら、呑んでいて飽きさせない奥深い旨みが特徴。

購入はコチラから

山の壽酒造  ☎ 0942-78-3025 
[所] 久留米市北野町乙丸一・二合併番地 
[営] 9:00~17:00 
[休] 土日祝日 
[P] 有

篠崎

Made in Fukuokaをこだわり貫いた、爽快な香りを味わうクラフトジン

本格焼酎や日本酒はもちろん、リキュールや甘酒の製造でも知られる朝倉の老舗酒蔵[篠崎]。老舗の伝統技術と福岡の原材料によって造り出したのは、柑橘系の香りが爽やかなジンだ。
ジンの香りの元となるスパイス・ジュニパーベリーと、福岡県産レモングラスが香りのベース。さらに県産ペパーミントと八女の煎茶。それらを素材ごとに浸漬することで爽快な香りに渋みと旨味を重ね、贅沢で奥深い味わいに仕上げている。
ラベルに施されているのは、鮮やかな色合いで描かれた、博多織の献上柄。初代福岡藩主・黒田 長政が幕府への献上品として選んだ博多織の伝統的な和柄だ。商品名にもある「40」は福岡県の県番号でもあり、細部まで福岡県産を貫いた、まさに福岡のクラフトジン。酒と地元への想いが詰まった1本だ。

ジン

ASAKURA
CRAFT GIN
JIN40

3,300円 アルコール度数/45度
内容量/750ml

レモングラスとペパーミントの香りが爽やか。トニックウォーターで割ると飲みやすいのでおすすめ。炭酸水で割ったジンソーダなら、よりボタニカルで繊細な味わいや風味を堪能できる。

購入はコチラから

麦焼酎

長期熟成麦焼酎
千年の眠り

3,047円 アルコール度数/40度
内容量/720ml

厳選した大麦を地下水で仕込み、樫樽で4年以上長期熟成させた古酒。伝統の技と永い時の流れが造り出す琥珀色が美しい本格焼酎。

購入はコチラから

篠崎 蔵元店千の蔵  ☎ 0120-531-699 
[所] 朝倉市比良松185 
[営] 10:00~17:00 
[休] 日曜 
[P] 有

酒乃竹屋

吟醸酒の酒粕の旨さを活かす、味わい深い酒粕焼酎

日本酒を絞った後にできる副産物である酒粕には、米や麹がもつ旨味、栄養価が豊富に含まれている。日本酒造りが盛んな筑後地方では、この酒粕を再発酵させる伝統的な製法の「酒粕焼酎」が古くから親しまれてきた。全国選りすぐりの酒粕を50年以上販売している[酒乃竹屋]もこだわりの酒粕から造ったオリジナルの焼酎を販売している。
その焼酎の名は「MO30」。何やら記号のようだが、「MO」は三潴町の老舗酒蔵[杜の蔵]との製造であること、「30」には平成30年に作られたアルコール30度の焼酎であるという意味がある。ちなみに、30はフランス語で「トラント」だそう。曲線が描かれたラベルには、洋酒ボトルのようなスマートさが漂う。美味しい酒粕を知る職人が手掛けた酒粕焼酎には、伝統技術を守っていきたいという願いが込められている

焼酎

MO30

1,485円 アルコール度数/30度
内容量/720ml

酒粕由来のフルーティーな香りの酒粕焼酎。柔らかい甘味とキレのいい旨味を感じることができ、後味はスッキリ。炭酸で割った焼酎ハイボールや、ロック、水割りなどいろいろなスタイルで楽しめる。

購入はコチラから

日本酒

榮 純米吟醸

1,540円 アルコール度数/17度
内容量/720ml

城島産の山田錦を100%使用し、城島の酒蔵と店が連携して創り出した純米吟醸。穏やかな香りと旨味は燗でも冷酒でも飲みやすい。

購入はコチラから

酒乃竹屋    ☎ 0942-62-6868 
[所] 久留米市城島町内野328-10 
[営] 10:00~19:00 
[休] 火曜 
[P] 有

天吹酒造

バナナ酵母の純米大吟醸がもつ、完熟バナナのような芳醇さにうっとり

330年余りという長い歴史を持つ[天吹酒造]は、花から分離した花酵母を用いた酒造りで知られる。花々がもつ個性によって花酵母の香りにも違いが生まれるため、ココで造る日本酒は多彩な香りで人の心を和ませるものばかりだ。
定番商品は酒蔵名を大きく配したラベルが多いが、挑戦的な地酒は大きな円を大胆に描いたラベルで登場する。中でも美味しいと評判なのが、満月のような鮮やかな黄色の「天吹 純米大吟醸 バナナ酵母 生」。その名の通りバナナ酵母を使用しており、開栓すると完熟バナナのような甘く華やかな香りが。飲み口はとろりと丸みがあり、日本酒を飲み慣れない人でも飲みやすいのに、後味はすっきり。普段の食事に合わせるのはもちろん、ゆっくりとスイーツ感覚で味わえば、至福のひとときを過ごせそうだ。

日本酒

天吹 純米大吟醸
バナナ酵母 生

1,760円 アルコール度数/16度
内容量/720ml

佐賀県産の寿限無をバナナ酵母で醸してあり、火入れをしていないのでフレッシュな香りが楽しめる日本酒。香りは甘いのにくどくなく、日本酒らしい旨味、爽やかな酸味が感じられる上品な味わい。

購入はコチラから

日本酒

天吹
純米大吟醸 50

1,650円 アルコール度数/16度
内容量/720ml

自家精米50%の佐賀県産米をオシロイバナの花酵母で醸した純米吟醸。リンゴを思わせる果実香、丸みのある旨味とほどよい酸味が特徴。

購入はコチラから

天吹酒造  ☎ 0942-89-2001 
[所] 三養基郡みやき町東尾2894 
[営] 8:00~17:00 
[休] 土日祝日 
[P] 有