MONTHLY FEATURES 今月の特集
ぎょうざ! ギョーザ! 餃子!
ラーメン、焼き鳥… 久留米市民のソウルフードは数あれど 忘れてはならないのが、餃子! 冷えたビール片手に、小ぶりなアツアツの餃子を 食べ始めたら食欲がなくなりがちな夏だって、 食が進んで手が止まらない。 心も体も元気になれる美味しい餃子を、 お腹いっぱい食べよう。
満州からやってきた餃子
中華料理の超定番である餃子の歴史はとても古い。紀元前600年頃の唐の遺跡から餃子のミイラが見つかったそうだ。そのミイラは小麦で作った生地に具材を挟んであって、ヒダがある半円形だった。現在とほぼ同じ形の餃子が三千年近く前に食べられていたということになる。
日本に本格的に入ってきたのは比較的新しく、戦後のこと。実は、日本での餃子の始まりに、久留米にも少し関わりがある。
最も長い歴史を誇る餃子の専門店[湖月]の初代店主は久留米出身で、戦時中満州に渡り、現地で料亭を営んでいた。当時食べた「鍋烙」という焼き餃子に心惹かれ、従業員に作り方を教わったのだという。中華料理としては水餃子が一般的であるが、日本人にとっては焼き餃子の方がお馴染みなのは、そのせいなのかもしれない。
[湖月]初代店主は終戦後、故郷である久留米で餃子専門店を開こうと考えて帰国したものの、当時の久留米は空襲を受けた直後で、一帯が焼け野原だった。そこでツテを辿って大分に移り、別府にて創業。昭和22年のことだ。70年余り続くその店のメニューは当時から変わらず「鍋烙」と瓶ビールのみで、今でも行列ができる人気ぶりだという。
久留米は餃子激戦区
さて、久留米で餃子の美味しい店はと問われると、どこが思い浮かぶだろうか。答えは人によって全く違う店になるだろう。それもそのはず、久留米は餃子の名店がいくつも点在している激戦区だからだ。
別府の[湖月]によって焼き餃子の人気が広まると、久留米にも[ぎょうざの娘娘]や[又兵衛]、[五十番]といった老舗をはじめ餃子専門店が続々と増加し、居酒屋メニューとしても登場するようになった。平成21年には満を持して[湖月]久留米店も開業。ビールにもご飯にも合う餃子は、なくてはならないソウルフードとして定番になった。
久留米の餃子といえば小ぶりな一口サイズのものや、鉄鍋でカリッと焼いてそのままテーブルに供されるスタイルが多い傾向にある。が、皮の歯ごたえや香ばしさ、具材の味わい、タレの使い方、焼き方は店ごとに大きく違っており、個性に溢れている。それぞれの店が最高に旨い餃子を真摯に探求してきたからこそ、そのルーツやこだわりが餃子に宿っているのだ。
引き継がれた流儀をひたすらに貫き通し、今日もひとつずつ手で包み続けられる餃子。歴史や長年培った技術、店主のこだわりが詰まってこそ、餃子の味はより深みを増す。だから熱々の焼き立て餃子をハフハフと頬張るのは、最高に口福なのかもしれない。
ぎょうざの又兵衛
作り置きせず、手早く高温で焼き上げる
全てはひとくち目の旨さのために
初代店主が関東で中華料理を学び、昭和39年に創業した[又兵衛]。ココの餃子の主役は何といってもキャベツの甘味だ。農家直送の新鮮なキャベツを大量に使った餡を皮で包むと、熱々の鉄鍋で一気に高加熱し、熟練の技で強めに焼き目をつける。そうして皮はカリカリ、餡はふっくら熱々に仕上がり、キャベツの優しい味が全面に出るのだ。キャベツの水分を多く含んでいるから、餃子の作り置きは一切しない。店が客で賑わっている間も注文が入れば次々に餃子を包み、次々に焼く。これが、キャベツの味と最高の食感を追求して辿り着いた、[又兵衛]のやり方だ。
☎ | 0942-34-2405 |
---|---|
[所] | 久留米市東町26-15 |
[営] | 18:00~23:00(OS) ※土・日曜は17:00~ |
[休] | 火曜 |
[P] | 近くに有料Pあり |
餃子の店 さんかい
福岡でおなじみの鉄鍋餃子の流れを汲む
野菜たっぷりの餃子は、両面焼きで香ばしく
福岡の有名鉄鍋餃子店を営む家に生まれ、餃子作りをよく手伝ったという店主。数年前に夫が倒れ自分で店を開こうと考えたとき、やはり一番に頭に浮かんだのは餃子だった。創業から7年。今では昼も夜も餃子を求めて常連が立ち寄る人気店になった。餡はキャベツにニラ、ネギ、ニンニクを加え野菜がたっぷり味わえる王道の餃子。アツアツに熱した鉄鍋で両面を焼いてカリカリに仕上げているから、パクパクと箸が止まらない美味しさ。まずは自家製の酢醤油でサッパリと、途中からは胡椒2種とゴマ油で作られた香り高い自家製胡椒を加えて味変するのが[さんかい]流。
☎ | 080-4311-1239 |
---|---|
[所] | 久留米市津福今町181-5 |
[営] | 11:30~14:00 (OS13:30) 17:00~22:00 (OS21:30) |
[休] | 火曜 |
[P] | 有(2台) |
ひとくち餃子 てん屋
余計な物を削ぎ落とし素材の旨味を活かした
究極にシンプルな、飽きの来ない味
何店も食べ歩きをし、究極の餃子を探求してきた店主が開いた[てん屋]の餃子は、調味料を極力使わず素材本来の旨味を引き出すため、創業16年目の今でも日々改良を続けているという逸品だ。野菜はキャベツとニラを使い、あとは豚肉のみ。サイズはまさに一口でパクリと食べられる大きさで、焼き上げると皮の表面はサクサクに仕上がるだけでなく、餡が透けて見えるほど皮が薄い。シンプルな味付けながら野菜の甘味と豚肉のコクが活きていて、世代を問わずスイスイ食が進む味。店主が気に入っているというナチュールワインと餃子のマリアージュも、ぜひ試してみて。
☎ | 0942-32-8099 |
---|---|
[所] | 久留米市六ツ門町22-36 |
[営] | 18:00~22:30 |
[休] | 木曜 |
[P] | 近くに有料Pあり |
ぎょうざ専門店 湖月
パリパリの薄皮と豚の旨味が絶妙な
日本最古の焼き餃子
昭和22年に伝わった焼き餃子の製法を継承し、初代店主の甥が開いた久留米の[湖月]。70年以上前の創業当初から何といってもこだわりは薄皮。当初は皮を円形に手で伸ばしていたが生産量が追い付かなくなり、昔の製麺機を改造した特製の機具を40年ほど前に導入。以後、極薄で正方形の皮になった。餡には旨味が濃厚な大分県産とびうめ豚と地元の新鮮野菜を使用しており、加熱すると薄皮から豚の脂とゴマ油がじんわりと染み出てくるおかげで、鉄板に油を敷かなくても焼き上がりはパリッパリ。軽快な食べ心地で、次々に口に運んでしまう美味しさだ。
☎ | 0942-30-8411 |
---|---|
[所] | 久留米市六ツ門町1-9 |
[営] | 17:00~23:00 (OS22:30) |
[休] | 月・火曜※不定休あり |
[P] | 近くに有料Pあり |
ぎょうざの娘娘
世代を超え粛々と作られる小さな餃子
受け継がれる、独自の流儀をしっかり味わって
六ツ門の裏路地で68年愛される老舗[娘娘]。店内では2代目店主たちが手際よく生地を麺棒で伸ばし、手の甲を使って器用に餃子を包む。4㎝ほどの小さな餃子は、先代の味への想いをしっかりと受け継ぎ、キャベツ、玉ねぎに豚肉、さらにニンニクを漬け込んだ醤油で餡に味を付け、鉄板でカリッと仕上げる。タレは、酢醤油に煎りゴマと刻んだニラをどっさりと入れ、ラー油を少々垂らすという独自のもの。三日月型の餃子でゴマとニラをすくって頬張れば、時代を経て久留米の人々を魅了してきた美味しさ、そしてこの店に引き継がれた流儀に触れられるはずだ。
☎ | 0942-32-9359 |
---|---|
[所] | 久留米市六ツ門町10-34 |
[営] | 14:00~23:00 |
[休] | 日曜 |
[P] | 近くに有料Pあり |
ぎょうざ家 TAKA
ジュワ~っと湧き出す旨味濃厚な肉汁と
歯ごたえの良さがクセになる個性派
久留米市内で居酒屋を営んできた店主が、好物の餃子がメインの店を出したいと昨年11月に改めてスタートを切った[TAKA]。試作を重ねて辿り着いた配合は、豚挽肉のうち半分を黒豚、半分を国産豚にするものだった。黒豚がもつ脂質の濃厚な旨味がパンチをきかせつつ、国産豚やキャベツ、玉ねぎといった野菜が程よいバランスを保ってくれる。さらに、歯ごたえにアクセントをつけるために加えられているのが、角切りレンコン。噛んでいくとシャクシャクとした心地よい歯ごたえとコクのある肉汁が味わえる。季節に合わせて登場する変わり餃子も人気。
☎ | 0942-32-1082 |
---|---|
[所] | 久留米市西町1201-2 新生マンション広又103 |
[営] | 17:00~22:00 |
[休] | 火曜 |
[P] | 近くに有料Pあり |
中国家庭料理 丁丁
プリプリッとした豚の濃厚な旨味を際立てる
名脇役は、意外なあの野菜
大連出身の店主夫妻が慣れ親しんだ中国の家庭料理を丁寧に作る[丁丁]は、創業から今年で13年になる。焼き立ての餃子には立体的な羽根がついていて、パリパリと砕いて一口頂くとやってくるのはモッチリした皮の食感と、豚肉のジューシーな旨さ。水分の多い白菜やキャベツに代わり、ココで脇を固めているのは大根だ。新鮮なものを刻んで煮込み、水分を絞り切るという入念な下処理を経た大根は、餃子の中であまり主張をせず、サッパリと味わえるよう豚肉の旨さを際立てている。普段の餃子とは一線を画す、中華らしい餃子の美味しさを再確認して欲しい。
☎ | 0942-34-8718 |
---|---|
[所] | 久留米市東町25-47 |
[営] | 11:30~14:00 17:30~21:00 |
[休] | 火曜 |
[P] | 近くに有料Pあり |
地元契約農家の野菜と新鮮な肉にこだわり、医食同源をモットーにした中華料理店[明楽]の餃子は、皮がモチモチでツルンとした食感にファンが多い。シンプルなニラ餃子のほか、エビ餃子やチーズ餃子などもあるから、家族そろって楽しんでみては。品数の多い無人販売所は東町と中央町の2店舗、自販機は市内に7箇所あり、続々と拡大中。
多種類餃子専門店 明楽
☎ | 090-8228-6007 (上海夢飯店) |
---|---|
[所] | 久留米市東町30-19 東町ビル1F |
[営] | 24H |
[休] | 無 |
[P] | 近くに有料Pあり |
餃子好きな店主夫婦が営む冷凍餃子専門店。店内でももちろん購入できるが、自販機なら24H買い物ができる。しかも、キャベツの甘味豊かなプレーン味だけでなく、ニンニク多めのスタミナ味や青じそ味、激辛餃子、煮込むと簡単にぜんざいが作れる変わり種など、遊び心溢れるラインナップが魅力。何種も揃えれば、簡単に華やかな食卓ができそう。
餃子のまごころ本舗
☎ | 0120-960-543 |
---|---|
[所] | 久留米市梅満町1595-1 |
[営] | 24H ※店舗は10:00~19:00 |
[休] | 無 ※店舗は火曜 |
[P] | 有 |