MONTHLY FEATURES 今月の特集

大川ワザ、マチ巡り

大川ワザ、マチ巡り

家具生産高日本一の大川の秋は「大川木工まつり」が開催され、素敵な家具との出合いの場に。会場周辺には「筑後川昇開橋」や“おふろうさん”で親しまれる「風浪宮」など魅力溢れるスポットもたくさん。職人の技に触れ、街巡りを楽しんでみて。

家具の街・大川の歴史と文化

大川は約480年余、家具を生産し続けてきた街であり、大川市の歴史=家具づくりといっても過言ではない。その歴史を紐解くと室町時代、木工の祖といわれた榎津久米之介が家臣に、家具の商いを行わせたことが始まりとされる。大川は筑後川の河口という立地から、古くから有明海へ向かう海上交通の要衝、その中心が大川家具発祥の地とされる榎津。筑後川を下ってくる木材の集積地として発展し、船の製造や修理といった高度な木工技術を持つ船大工が多く住むようになり、家具の街としての形を成していく。明治時代には、「榎津箪笥」が生まれる。また、建具業も盛んになり、釘を用いずに木を組み合わせて作る「大川組子」も誕生。現在、JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」の内装に使用され、改めて脚光を浴びている。

世界が注目する”ネコ家具“の誕生

そんな歴史ある大川家具が今注目を集めている。ネコ家具を一度は見聞きした人も多いはず。猫用のベッドやソファで猫が寛いでいる動画が可愛いとネットを中心に一気に拡散した。このプロジェクトを仕掛けたのが「おおかわセールス係」。全国的な知名度向上のために市内の家具メーカー[広松木工]と[立野木材工芸]に依頼。気まぐれで自由奔放な猫が”心地良い場所“として満足してしまう家具がコンセプトだ。
ネコ家具は人間用を単純に縮小すれば良いというわけではない。人間用以上に手間も技術も必要になる。ソファはアンティーク仕上げの「サンタフェ」シリーズを42%に縮小して製作。手作業でしかできない使い込んだ風合いまで再現した。ベッドは固定するビスなどの適合するサイズがない金具を木で代用したり、工夫を凝らした。どちらも大川家具職人のスキルやセンスが存分に注がれている。反響は大きく、国内外から多くの問い合わせがあった。確かな技術とアイデアがあれば、地方からも世界中と繋がることができると手応えを掴んだ。
徹底した職人気質と常に挑戦する気持ちが受け継がれてきた大川。今後も街全体で高みを目指すために、家具づくりに携わる全ての人が”職人“であることを体現した「職人MADE大川家具」というブランドロゴもつくり、暮らしを豊かにする家具づくりを続けている。

ブランドロゴは、“大”の字が屋根を、“川”の字が家具を表し、家具に囲まれた家を表現


一枚板だけが持つ木のぬくもりを届けたい
Seki Furniture
加工用に板を自然乾燥。乾燥には10年かかるものも
加工用に板を自然乾燥。乾燥には10年かかるものも
日本最大級の削り出しマシンで、凹凸部を平らに加工
日本最大級の削り出しマシンで、凹凸部を平らに加工
手作業で何度も研磨して仕上げられた美しい一枚板の数々
手作業で何度も研磨して仕上げられた美しい一枚板の数々

樹齢数百年の巨木を生かしきる技と想い

工場に足を踏み入れると、ふわりと木の香りがした。[関家具]の一枚板家具ブランド「アトリエ木馬」。一枚板は丸太の買い付けから製造まで、全てを自社で手掛けている。 一枚板の大きな魅力はその風合いだろう。美しい杢目だけでなく節やひび割れも、数百年生きた銘木の歴史を物語る。その味わいを生かしきることに、職人たちは全力を傾ける。殊に、扱う板は一枚一枚、形も質も違うため、最終段階の研磨・塗装では手作業が欠かせない。熟練の腕で、平滑に均一に、かつスピードを持って仕上げる。巨大な板を中腰で研磨し続ける青年職人に、大変ですね、と声をかけると「いやあ、おもしろいですよ。これをお客様が使ってくれると思うと、本当にやりがいがあります」。明るい笑顔が返ってきた。職人の熱い想いは、長い時を生きた木に、新たな美しさとぬくもりを与えている。

株式会社関家具
ATELIER MOKUBA 大川ギャラリー(本店)

電話番号
0944-88-0108
住所
大川市幡保172-3
関家具大川本店 1F
営業時間
10:00〜18:00
定休日
年末年始
駐車場

細部まで妥協なき姿勢が美しいデザインを生む
Hiromatsu Furniture
工場では木材の裁断から検品まで一環して行う
工場では木材の裁断から検品まで一環して行う
種類豊富な家具を展示販売しているファクトリーショップ
種類豊富な家具を展示販売しているファクトリーショップ
人用サイズの家具をそのままの形で縮小したネコ家具も展示
人用サイズの家具をそのままの形で縮小したネコ家具も展示

無垢材の良さを生かしたシンプルで機能的な家具

[広松木工]は、65年の歴史を持つインテリアメーカー。全てのアイテムからは懐かしさや、ぬくもりを感じ取ることができ、「このイスを我が家に置いたら…」と想像が膨らむ。原点は18世紀後半から19世紀にかけて確立されたアメリカの「シェーカースタイル」。暮らしの中に溶け込み、長く使い続けられるか。そのために主義主張や流行にとらわれず、シンプルで機能的な家具を提案する。
家具は無垢材の木味を生かしたナチュラルなもの。木の独特な質感を大切にするため、時間をかけ研磨するなど細部にまでこだわる。見た目の美しさと強度が増すよう様々な工夫が施された接合部にも高い技術を垣間見る。それらを手掛ける職人は現在20名。大川のみならず、高い志を持って全国から集まった精鋭たち。彼らのセンスと創造力で生み出される家具からは、モノづくりの楽しさが伝わってくるようだ。

広松木工株式会社
ファクトリーショップ大川本店

電話番号
0944-87-5911
住所
大川市鬼古賀174-1
営業時間
平日 13:00〜18:00
土日祝 10:00〜18:00
定休日
火曜
駐車場

風浪宮

約1800年前、新羅親征からの帰途、神功皇后の乗った船の近くに白鷺が降り立ち、そこにお社を建てたのが起源と伝わる神社。勝運の道を開いたという「少童命」を祀り、勝運守護、開運の神として大川ではおふろうさんと呼ばれ親しまれている。白鷺がとまったとされる樹齢約2000年の大楠は圧巻。国の重要文化財にも指定されている本殿や五重の石塔も見事だ。境内には弥生時代の貝塚や初代神主・阿曇磯良丸の支石墓など貴重な史跡もある。

白鷺が降り立ったといわれる「白鷺の楠」。幹回りが約8mもある巨木
白鷺が降り立ったといわれる「白鷺の楠」。幹回りが約8mもある巨木
社殿の天井にある鮮やかな干支方位盤
社殿の天井にある鮮やかな干支方位盤
五層の軸部と屋根とを重ねた石塔は、国の重要文化財
五層の軸部と屋根とを重ねた石塔は、国の重要文化財
神功皇后の船団の指揮をとっていた初代神主・阿曇磯良丸像
神功皇后の船団の指揮をとっていた初代神主・阿曇磯良丸像

風浪宮

電話番号
0944-87-2154
住所
大川市大字酒見726-1
駐車場

大川テラッツァ

昇開橋のたもとに観光情報施設として昨年オープンした[大川テラッツァ]。木工商品や特産品が並ぶ販売コーナーのほか、組子や猫のコースター製作、スプーン作りなどの木工ワークショップ体験ができる。併設のカフェでは、スイーツやドリンクメニューが揃い、テラスで昇開橋を見ながら味わうのもおすすめ。また、好みのタイプのインテリアに合わせて、職人やショールームを紹介してくれる家具コンシェルジュがいるのも嬉しいところ。

コンテナを8台連結させた観光情報施設[大川テラッツァ]
コンテナを8台連結させた観光情報施設[大川テラッツァ]
地元特産の加工品などの販売スペース
地元特産の加工品などの販売スペース
大川家具メーカーの商品も多く並んでいる
大川家具メーカーの商品も多く並んでいる
300年続く大川の酢屋、[庄分酢]のあまおうサイダー
300年続く大川の酢屋、[庄分酢]のあまおうサイダー

大川テラッツァ

電話番号
0944-87-0923
住所
大川市大字向島2525-2
営業時間
10:00〜17:00
定休日
月曜(月曜が休日の場合はその翌日)
駐車場

筑後川昇開橋

「筑後川昇開橋」は国の重要文化財に指定されている大川市のシンボル。かつて大川市と佐賀市を結ぶ日本国有鉄道佐賀線として使用され、佐賀線の廃線に伴い閉鎖されたが、地元住民の強い存続の声により1996年から遊歩道として一般開放されている。可動橋は、午前9時~午後4時まで1時間毎の30分間、大川市と佐賀市をつなぎ歩いて渡ることができる。また、夕日が美しいスポットでもあり、夜間はライトアップされ幻想的な雰囲気に。

筑後川の河口付近に架設された可動鉄橋
筑後川の河口付近に架設された可動鉄橋
昇開橋を眺めながら入浴を楽しむことができる
昇開橋を眺めながら入浴を楽しむことができる

筑後川昇開橋

電話番号
0944-87-9919
住所
大川市大字向島
営業時間
9:00〜16:35(通行可能時間)
※強風の場合は閉鎖
定休日
月曜、12/29〜1/3
駐車場

大川昇開橋温泉

眼前に広がる筑後川と昇開橋を臨む絶好のロケーションで入浴を堪能できる天然温泉。ジャクジーやジェットバス、電気風呂など種類も豊富。人気の家族風呂は、ゆったりとした石造りの岩風呂と、檜の香り漂う檜風呂の2種類楽しめる。100%源泉かけ流しなのも何とも贅沢。入浴後は食事処で美味に舌鼓。新鮮な魚介類を使用したコース料理や、定食メニューも味わえるので、街巡りをした後に、ゆっくり疲れを癒してみて。

大川昇開橋温泉

電話番号
0944-86-8533
住所
大川市大字向島五ノ割2526-1
営業時間
9:00〜23:00
定休日
第2火曜
料金
大人600円 小学生400円 2歳〜100円
駐車場

第69回 大川木工まつり

日本一の家具の生産地・大川で毎年、春と秋の2回行われる「大川木工まつり」。今年は10月6日(土)~8日(月・祝)、大川産業会館に家具メーカー200社、10,000点の家具が大集合。期間中は屋台村グルメやフリーマーケット、親子で楽しめるワークショップなどイベントを多数開催。抽選でネコ家具が当たるチャンスもあり!

第69回 大川木工まつり

電話番号
0944‐87‐2101(大川市インテリア課)
住所
大川市大字酒見221‐3
メイン会場/大川産業会館
サブ会場 /大川中央公園
大川市文化センター
大川市民体育館
インテリアポート
U-ZONE
営業時間
9:00〜18:00
駐車場