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ラーメンは豚骨だけじゃない!

ラーメンは豚骨だけじゃない!

豚骨ラーメン発祥の地であり、豚骨ラーメンの牙城である久留米で敢えて豚骨以外のスープで勝負するラーメン店が増加中。
豚骨の白濁した濃厚スープでないと物足りない、と思っているならきっとその思い込みは打ち砕かれるはず。
店主の熱い思いとこだわりを濃縮した至福のラーメン、ぜひお試しあれ。

昭和12(1937)年、久留米市内の屋台[南京千両]で豚骨ラーメンが誕生してから80年余り。羽釜でとったスープを長時間煮込み続ける「呼び戻し」製法、やや細めの低加水麺などが特徴の久留米ラーメンは、旨味がガツンと濃厚な「国道系」や、クリーミーながらスッキリとした「食堂系」などと分類されたり、店によってトッピングもいろいろ登場したりと、個性豊かに発展してきた。周知の通り、久留米での豚骨ラーメン愛は、果てしないものがある。
しかし、だ。一方で豚骨以外のラーメン店も増えており、その店に行列ができている様子も目にするようになった。醤油、塩、味噌などといったラーメンは他の地域で見れば主流であるものの、久留米では圧倒的に少数派だったはず。それが今では存在感を増したばかりか、人気店も増えているのだ。久留米ラーメンに食べ慣れているとはいえ、それら豚骨以外のラーメンを食せずにいるのはもったいない! 久留米で敢えて勝負をかける豚骨以外のラーメンのうち、注目の5杯を食べてきた。

ラーメンラボ。 ヒカリノサキ

香り高く濃厚な醤油ラーメン
人をトリコにする完成度

自慢の自家製
チャーシュー2種

低温調理でじっくり火を入れ、きめ細かく柔らかく仕上げている。チャーシューのファンも多い

長さに驚く!
自家製穂先メンマ

丼をぐるりと囲むほど長い、麻竹の穂先(先端)のメンマ。歯ごたえがたまらない

全国でラーメンを食べ歩いたというここのオーナーは、元トラック運転手。全国を食べ歩き選りすぐった素材を組み合わせ、「敢えて豚骨が主役の久留米で挑戦したい」とオープンして6年目を迎えた。繊細な手仕事で作られる、絶妙にバランスのいいラーメンで常連たちを魅了している。
鶏出汁をベースに、島根から取り寄せた香りのよい醤油と京都の製麺所のストレート麺。麺をすすると醤油自体のまろやかな旨味や甘味がしっかりと口に広がる。しっとりと仕上げた鶏むねチャーシュー、自家製ダレで漬け込んだ豚肩ロースチャーシュー、しなやかな歯ごたえの穂先メンマだけでなく、仕上げ油などもすべて丁寧に仕込まれた自家製。シンプルながらそれぞれがバランスよくまとまっていて、完成度が高く心に染みる一杯。豚骨以外は物足りない、という人にこそぜひ食べて欲しい醤油ラーメンだ。

店長中田 翔さん

特製塩ラーメン 880円

昆布、ホタテと8種の節からとった黄金色のスープが主役。麺、仕上げ油、チャーシューを好みで選んで50通り以上のアレンジができるのも珍しい。

☎ 0942-27-5982
[所]小郡市小郡553-7
[営]11:00~15:00(OS14:30)18:00~22:00(OS21:30)※土日祝日は昼休みなし、スープが無くなり次第閉店
[休]水曜 [P]有

久留米らーめん道 麺志 朝妻ヶ丘店

味噌の旨さに辛味がピリリ
元気が満たされる一杯

麺志名物
鬼ロングメンマ

九州で初めて採用したというメンマは歯ごたえ抜群! 噛めば噛むほど甘味と旨味が染み出る

国産豚肩ロースの
チャーシュー

国産豚肩ロースを低温調理でじっくりと仕上げていて、脂まで柔らかく美味しい!

店主・鬼塚さんにとって味噌ラーメンは、母が自宅で作ってくれた思い出の味。2店目を出すなら味噌ラーメン専門店にしたい、との思いで、東町にある[麺志 本店]とは全く違うメニューを掲げた。本店と同じ豚骨スープに地元の味噌4種と赤味噌、そして辛味を効かせたオリジナルの肉味噌をたっぷり。「旨味と辛味のバランスにはこだわった旨辛スープです。激辛を求めるお客さまもいるけど、うちでは味噌の旨さを味わって欲しい」の言葉通り、味噌のまろやかなコクと辛さが程よく、どんどん箸が進む。
麺は、つるつるとした喉越しともっちり食感が特徴の北海道産小麦「夢のちから」を使った中太の自家製ちぢれ麺。熱々のスープをフーフーしながら食べ進めば、完食する頃には汗ばんできて、不思議と元気がみなぎってくるよう。ちょうどいい辛さが爽快で、また食べたいと思わせる一杯だ。

店長鬼塚 清志さん

うままろ 850円

もやしの上に鎮座するおろしたて生姜がインパクト大。味噌4種のまろやかな味わいに生姜の風味を効かせていただく「久留米味噌ラーメン」。

☎ 0942-25-8643
[所]久留米市野中町170-1
[営]11:00~15:00
[休]水・日曜、祝日 [P]有

無化調醤油ラーメン しのわ

最後の一滴まで飲み干してOK
ごまかしナシの醤油ラーメン

甘辛!特製
刻みチャーシュー

丁寧に下処理された豚肩ロースは臭みがない甘辛味。麺と一緒に口に入ってきて食べやすい

麺の量が多くて
食べ応えアリ

麺量135gと一般的なラーメン店より多め。それでもペロリと食べられる味

21年前の開業時から一貫して店主・稲益さんの思いは「化学調味料不使用のラーメンを作りたい」ということ。そのために今も試行錯誤は続いているそうだ。
国産鶏や豚、煮干しや鯖節など30品目近くの天然素材からとったスープがベースとなっていて、全材料を公開していることにも店主の姿勢が表れている。深い味わいがあるのに重くなく、臭みも一切ないスープに、醤油と煎りゴマ、すりゴマ、ゴマ油、ねぎ、ホロホロになるまで柔らかく煮込まれた刻みチャーシューをどっさりと投入。麺は伸びにくく、もちもちっとした多加水麺を使用していて、具材や小麦の甘味によって深みを増したスープは、栄養価が高く胃にも負担がかからないので、ぜひ最後まで飲み干して。ちなみに、カタ麺のリクエストや替え玉には対応していないので、この店が貫いてきた無化調ラーメンの良さを堪能して欲しい。

店長稲益 誠之さん

担々麺 880円

煎りたての風味豊かな練りゴマと、多種の香辛料で作った自家製ラー油のコクがそそる、無化調スープ。香り高く多重構造の旨味がクセになる。

☎ 0942-38-1004
[所]久留米市東櫛原町1185-2
[営]11:30~14:20 17:30~21:30
[休]火・水曜※祝日は営業 [P]有

ノーリコピン ノーライフ リコピン研究所

トマトの旨味でお腹を満たす
大満足の個性派ラーメン

モリモリの野菜を
トッピング

フレッシュな水菜、ボイルしたほうれん草にトマト、豚しゃぶがどっさり。サラダ感覚で食べられる

細めの
自家製ストレート麺

伸びにくい自家製麺にも自信アリ。カロリーが気になるなら、低糖質のこんにゃく麺も選べる

オーナーが「変わったラーメンを敢えて久留米で出したい」とひらめいて5年前に誕生したトマトラーメン。完熟トマト3個分が溶け込んだ鶏ガラベースのスープは、ヘルシーであることはもちろんだが、実際口にしてみるとこっくりと濃厚で食べ応えがあって、まったく物足りなさを感じない。個性派なのにやみつきになる美味しさで、足繁く通うリピーターが多いのも納得だ。
毎日でも食べたくなる理由は、種類豊富な味変メニューにもある。チーズを加えるイタリアン風や唐辛子を加えた辛麺のほか、麺の後にご飯と具材を加えればリゾットにも。味変を楽しみながらお腹いっぱい食べられるうえ、主役がトマトなので罪悪感もナシ! 子どもからダイエット中の人、腹ペコの学生まで満足できるトマトラーメン。あなたならどんなアレンジを選ぶだろうか。

店長水江 まことさん

スープdeリゾット +350円~

替玉のタイミングでご飯と好みの具材でリゾットにアレンジする。一番人気はチーズとウインナー!

☎ 0942-27-5353
[所]久留米市東櫛原町422-1
[営]11:00~22:30(OS22:00)
[休]不定 [P]有

つけ麺 がっちょ

鶏出汁と節系出汁で作る
コクが奥深い渾身のスープ

至福の
レアチャーシュー

塩拉麺のために作られたもの。食べ応えもありながら、しっとりと柔らかく、豚の甘味を感じる

節系の出汁を効かせた
黄金スープ

手間暇かけた自慢のスープは、節の旨味も溶け出す奥深い味。多めの白ねぎがいい仕事をしている

元トラック運転手だった店主がこの店を開業したのは、埼玉にあるラーメン店の味に惚れ込んだことが始まり。その味を全国に広めたいと一念発起して修行を積み、1年前に久留米・中央町に店を構えた。
国産丸鶏・鶏ガラ、魚の節をそれぞれ別の寸胴で8時間以上をかけてコトコト煮込み、2種の出汁を合わせた澄み切ったスープがベース。5種の塩によるキリリとした味わいと、何層にも掛け合わされた旨味・コクが体に染みわたる美味しさ。細めのストレート麺との相性がよく、ほのかに効いた柚子、刻みねぎや白髪ねぎの香りがよいアクセントになっている。低温調理で時間をかけて作られた豚肩ロースのレアチャーシューは美しいピンク色で、ここにも店主のこだわりが。スッキリだけではない、ガツンと濃厚な旨味を堪能できる塩ラーメンとして多くの常連を魅了している。

店長緒方 康博さん

まかない飯 350円

こってりとした豚バラチャーシューと味玉という黄金コンビ!ご飯との間には香ばしい揚げねぎが隠されていて、食欲をそそる。

☎ 0942-64-8929
[所]久留米市中央町27-12
[営]11:00~16:00※金・土曜は11:00~14:30 18:00~21:00
[休]木曜 [P]有(2台)