優しくなるために、強くなりたい。
中津留 瑞彬 × 古田 紀久郎
新極真会 久留米道場 にて
- 株式会社中津留 三代目
中津留 瑞彬 Mitsuaki Nakatsuru - 1985年久留米市生まれ。黒毛和牛・高級和牛の専門店を経営する[株式会社中津留]の三代目として、現在は常務取締役を務める。また、15歳から通う[新極真会 久留米道場]では指導員を務め、空手にも精を出す。
- cocomi 発行人
古田 紀久郎 Kikuo Furuta - 1975年久留米市生まれ。豚骨ラーメン大好きcocomi発行人。その他に、クリエイティブディレクターとして数多くの広告物に関わる。季節の変わり目に38.5℃の熱を出し、久留米が誇るとんこつスープを飲んでえいやと治す。
大店の三代目 ひたむきに肉屋を目指す
「小学2年の時の文集で、すでに『お肉屋さんになりたい』って書いてました。でも、親には家業を継ぐつもりだなんて恥ずかしくて。むしろ『絶対継がんけんな』って言ってました」
きれいに並んだ白い歯を覗かせながら、サッパリとした口ぶりで話すのは、精肉店からレストランまで幅広く手掛ける[株式会社中津留]の三代目、中津留 瑞彬氏。ゆったりと厚みのある空手着がなじんで、長年着込んでいることがよくわかる。
大学卒業後、中津留氏は群馬県にある全国食肉学校に進学。そこは国内唯一の食肉に関する公的な職業能力開発校。全国から食肉の生産者や、卸売業・小売業等を営む家の子息たちが集まる。中津留氏もその中の一人として、流通、衛生管理、枝肉の処理技法など、食肉についての知識と技術を身に付けた。その後、京都で精肉店・焼肉店を広く展開する企業でさらに3年間、食肉のプロフェッショナルとして修行を積む。
「最初は別の有名店に学校から派遣されたんですけど、その会社の社長のことを知ってから、カッコいい人となりに惚れ込んでしまって。学校にこっちで働かせてくれって言って。タブーだったんで揉めました(笑)」
自身の想いにまっすぐな中津留氏は、壁にぶち当たることも厭わない。そんな彼の原点は、やはりその身にまとう空手着にあるようだ。
肉職人として指揮する
中津留[株式会社中津留]の三代目として久留米に帰ってきたのは2012年。今は現場から離れて全体を見てますが、元々は肉職人です。
古田お~肉職人ですか~! 肉の魅力って何ですか?
中津留やっぱり、美味いなって顔をして頂けると嬉しいですね。もう、食べた瞬間にわかるでしょ。
古田はいはいはい!
中津留でも、飲食店だったらいいけど、肉屋ってその場で食べてもらえないじゃないですか。お客さんがどうやって食べてるかって、想像しながら切らないといかんとですよ。
古田なるほど。
中津留家族構成はどうかとか、この肉は僕だったら柔らかいけど、お年の人には硬いかなとか。で、切った肉で食卓を囲んでもらって、美味いと不機嫌だった親父がニコニコするでしょ。それを想像したら鳥肌が立つくらい嬉しいですね。だから、スタッフにも想像しながら切れって。
古田確かに、肉は家族を笑顔にしますもんねぇ。ほら中津留さん、よく一頭買いってあるんですけど、あれは一頭競り落としてくるってこと?
中津留そうです。普通だったら、問屋さんがする仕事なんですけど、うちは市場に直接行きます。自分の好きな生産者さんの牛を選べるんで。
古田あ~誰々さんが育てた牛やけんということ? ほうほうほう。やっぱその生産者の想いが味っていうか、牛に出てくるんですか?
中津留気持ちが出ますね。
古田ということはですよ、生産者の方ともよく話されたりとか。
中津留仲いいですね。彼らは365日24時間働くけんですね、牛のために。台風の日とか、夜中に雨の中、牛を見に行くじゃないですか。壱岐牛の生産者さんも博多和牛の生産者さんも、みんなそうしていて。もう、涙が出てくるんですよ。
古田自分の子どもみたいなものですもんねぇ。
中津留牛を一頭買っても、骨とか脂とか、血で汚れた部分を取ると使えるのは5割くらい。でも、食べられるところは捨てるなよって言ってます。生産者さんが一生懸命育てた牛を捨てるなと。人としてですね。
悔しいことをバネにして
古田久留米に戻ってこられてから丸7年ということですけど、こう、しっかり筋道の通った考えた方を持って仕事されてますよね。
中津留いやいや(笑)。空手でずっと一緒だったやつがいるんですけど、彼に仕事でもサポートしてもらって。
古田どういうことですか?
中津留僕は15歳でこの道場に入ったんですよ。昔、アンディ・フグって流行ったじゃないですか。
古田あ~懐かしいですね、K1の。
中津留それで極真空手ブームになって、その頃に入門したんですね。で、彼とはそれからずっと一緒に。
古田へ~!
中津留僕の自慢がですね、高3の時の地区大会で僕らでワンツーとったってこと。で、県大会でワンツーをとって、九州大会でもワンツー。
古田ほお~! すごいな~!
中津留一日6時間くらい、二人で毎日練習して。それで、僕が久留米に帰ってきた時、もちろんうちにはいいスタッフがいっぱいいるんですけど、僕のブレーンが欲しいと思って。彼に応援に来てくれって言って。
古田公私ともに信用している人なんですね。今はお二人とも指導に回られてるんですか?
中津留そうそうそう。彼はメインで道場に。僕も来られる時には。
古田教えているのは小学生とか?
中津留ああ、もう幼稚園児から、上は63の方まで。子どもたちには、悔しいことをバネにできる人間になれってことを一番に教えたいですね。生きていると悔しいことが多いじゃないですか。それを逆にエネルギーにして、きつい時でもポーカーフェイスで、「いつか見とけよ」って。
古田ほんとそうですね。中津留さんもそうやって空手で養われて?
中津留そうですね、それもありますね。強い人って優しいんですよ。道場の師範の言葉にあるんですけど、「強くなければ優しくなれない」って。僕は優しくなりたいですね。
古田よりよい仕事をすべく、より強く、高みを目指して。そのために、人にちゃんと優しくってことですね。
オトナのおすすめスポット
新極真会 久留米道場
電話番号 | 0942-44-5572 |
---|---|
住所 | 久留米市御井町2227-5 |
営業時間 | 月・金曜19:00〜21:30 水曜19:00〜20:30 |
駐車場 | 無 |
株式会社中津留
電話番号 | 0942-34-1338 |
---|---|
住所 | 久留米市通東町6-13 |
・中津留 本店 ・中津留 螢川店 ・すきやき・しゃぶしゃぶ 中津留 ・焼肉・鉄板焼 中津留 ・肉のレストラン 中津留 |