八女の技術を世界に発信する。。
中島 一嘉 × 井上 裕樹 × 緒方 大輔 × 古田 紀久郎
黄金の茶室in HACO にて
- 株式会社アズマ 代表取締役
中島 一嘉 Kazuyoshi Nakashima - 1969年八女市生まれ。元々は屋根工事の職人。太陽光発電、屋根板金工事、農業等を手掛ける。さらに建築業も試み、フィールドを広げている。
- 有限会社井上製作所 代表取締役
井上 裕樹 Yuuki Inoue - 1977年八女市生まれ。2013年より会社を引き継ぎ、オーダー家具や建具を製作する。優しさ溢れる空間づくりをモットーに事業を展開している。
- 株式会社おがた佛具店 代表取締役
緒方 大輔 Daisuke Ogata - 1978年八女市生まれ。1975年創業の佛具店の2代目。伝統工芸品である八女福島仏壇の製造・販売業を営む。マイブームは麻雀。
- cocomi 発行人
古田 紀久郎 Kikuo Furuta - 1975年久留米市生まれ。豚骨ラーメン大好きcocomi発行人。その他に、クリエイティブディレクターとして数多くの広告物に関わる。
八女を想う3人の男が結集黄金の茶室、現る
外から見ると、どこにでもある大きな藍色のコンテナ。しかし、重い扉の向こうに現れたのは、にじり口を思わせる引き戸の木目が美しい和の玄関。さらにその戸を開くと、まばゆいばかりの黄金の光に包まれた広さ4・5帖の空間が。秀吉の黄金の茶室とはかくあらんと圧倒される。壁と天井に金箔が敷き詰められているのだ。欄間も不死鳥が舞う豪華絢爛な金の彫刻が施され、対照的に床は漆黒の漆塗りが鏡のように反射して艶やかに光る。手前には久留米絣や弓矢、蒔絵、彫金によるオブジェが飾り付けられている。
この八女伝統の技術を詰め込んだ「黄金の茶室」に集まってもらったのが、企画・制作を手掛けた「Team Culture Box」の[株式会社アズマ]の中島 一嘉氏、[有限会社井上製作所]の井上 裕樹氏、[株式会社おがた佛具店]の緒方 大輔氏である。
彼らはいずれも八女に生まれ、八女に育ち、八女でものづくりを行う会社を経営する。きっかけは昨年の春先、緒方氏が飲み屋で放った一言、「仏壇の技術を使って、黄金の茶室って作れるんですよ」。後日、中島氏の声掛けで3人が結集。転がるように話は進み、わずか2ヶ月半の工期で「黄金の茶室」が完成したという。そこには彼らが誇る八女と、八女のものづくりを支える職人に対する深い愛情があった――。
形を変えて見せる伝統の技
古田黄金の茶室を作りたいと思われたきっかけは何ですか?
緒方やっぱり、住宅事情の変化とかで昔みたいに大きくて立派なお仏壇を作ることが減ってきている中で、見せ方を変えるというか、技術を応用していかなきゃいけないと。黒い漆とか金箔とかを考えた時、アイデアのひとつとして黄金の茶室を思いついたという感じですね。
古田それで新たな視点を持たれて。どこから始めたんですか?
緒方まず中島社長にコンテナを準備して頂いて、加工してもらって、それから井上さんが設計を。
井上すっからかんの何もないところからですね。それでそれぞれの技術を持ち合わせて。
古田八女はそもそも伝統工芸とか、ものづくりがとても盛んな地域ですもんね。
中島茶室の床の漆塗りは大ちゃん(緒方氏)のところで20工程かけてピカピカに仕上げてもらってるんですけど、これが見学された皆さんに一番びっくりされます。茶室の手前の床には八女の石灯籠で使われる石を使ってるんですよ。最近は需要がなくてね。
井上そうですねぇ。
緒方まだ形のない間は何の後ろ盾もない僕たちが、こういうのを作るから置かせてよと交渉するのはちょっと大変でしたけど、できあがってからは話が早いですね。「予想以上にすごいのを作ったね」って。
中島テレビ局3社からも取材の依頼が来ていて。やっぱりインパクトがあるんだろうなぁと思いました。
緒方僕まだ子どもがちっちゃいんですけど、八女ってどうしても人はこれからどんどん減っていくし、ちょっと寂しくなってしまうんじゃないかなぁと。その中で頑張ってる大人がいると子どもって安心すると思うし、誇れる故郷を残してあげないといけないと思うんですよね。
職人に光を当てたい
古田そうですね、大人が頑張らないとですねぇ。今回何人くらいの職人さんが携わってるんですか?
緒方職種で言うと10種類以上関わってますね。で、ひとつに数名が関わっているところもあるんで。
古田20人以上の職人さんの魂が込められた茶室ということですね。
中島今回僕たち、制作の会議の中で職人さんというキーワードを出していたんですよ。コンテナの側面には職人さんの作業中のパネルを飾らせてもらったり、職人さんを表に出したいという想いがあったんですよ。結果として、関わってくれた職人さんがイベントに来て嬉しそうにしてくれて、やっぱり3人とも嬉しくて。
緒方「おじいちゃん、すごいんやね~」って子どもたちに言われてるのを見たりするとですね。
古田ああ、いいですよねぇ。確かに職人さん自身が日の目を見ることはなかなかないですもんね。
緒方特にお仏壇なんてなかなかこう、若い方が見る機会って少ないんで。今回見せ方を変えることによって裾野がすごく広がったと思うんですよね。床の漆とか、やっぱりきれいだねって言ってもらえるし。
井上建築の中でも和室を作ることって減っていますし、和室だったり茶室だったり、その良さをみなさんに知ってもらいたいなと。今回、建具は隠れている部分になるんですが、これから先に繋げていければ。
古田和室減ってますもんねぇ。僕は和室がないと落ち着かん(笑)。
中島僕は今回改めて感じたことがあるんですけど、伝統的な技法はそもそもモノがない時代に生まれたんですよ。モノがなかったから地元にある素材を活用して生まれた技法なんですよね。
古田なるほどですね!
中島だから、ヨーロッパの人たちにサスティナブルな技法だということでウケてるんだと思います。ヨーロッパの方々も伝統を大切にされるから。今、地元のイベントでこの茶室を展示させてもらってるんですけど、次は福岡に出て、その次は東京に出たい。そして最後のゴールは海外に出ることですね。
古田海上コンテナやけん、船便で運べるということですか、すごい!
中島コンテナの中に地域の文化、日本の文化をたくさん詰め込んで運ぶんです。
井上次はこういうものを作ってほしいと言われたら、ご要望はいろいろお応えできますからね。
中島そうそうそう、八女の職人が集まればちょろいもんよね(笑)。
オトナのおすすめスポット
黄金の茶室 in HACO
電話番号 | 0943-22-3131 |
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住所 | 八女市本町2-123-2(八女伝統工芸館内) |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜※祝日の場合は開館 |
駐車場 | 有 |
株式会社アズマ
電話番号 | 0943-24-4001 |
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住所 | 八女市吉田1645-4 |
有限会社井上製作所
電話番号 | 0943-42-1135 |
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住所 | 八女市黒木町本分858-2 |
株式会社おがた佛具店
電話番号 | 0943-23-1424 |
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住所 | 八女市大字吉田844 |