人生の先輩にお話を聞きに行きます! オトナ空間

蝶屋株式会社 代表取締役社長 髙倉 慶応 価値観を問いただす。

価値観を問いただす。

髙倉 慶応 × 古田 紀久郎

久留米シティプラザ にて

蝶屋株式会社 代表取締役社長
髙倉 慶応 Yoshimasa Takakura
1968年久留米市生まれ。祖父の代より続く呉服屋を営む傍ら、[一般社団法人イマジンワンワールド]を設立し、「KIMONOプロジェクト」を展開。現在は代表を退き、ファウンダーとしてKIMONOプロデューサーを務める。
cocomi 発行人
古田 紀久郎 Kikuo Furuta
1975年久留米市生まれ。豚骨ラーメン大好きcocomi発行人。その他に、クリエイティブディレクターとして数多くの広告物に関わる。慣れない着物を着ていそいそと撮影に臨んだが、帯が突然すとんと落ちてスタッフを驚かせる。

213の〝KIMONO〟最高の技術で世界を魅了

6年以上の歳月をかけて、今年7月に全213ヶ国をそれぞれイメージする着物をついに完成させた「KIMONOプロジェクト」。久留米市で昭和初期から三代続く呉服屋[蝶屋株式会社]の代表取締役社長・髙倉 慶応氏が立ち上げたものである。それは「世界はきっと、ひとつになれる」というテーマの通り、世界の人々の関心を集め、心を震わせて繋げることに成功したようだ。だが、もちろん並大抵のことではなかった。
「業界の人たちには、そんなのできるわけないって思われてたんですよ。だって、呉服に関することは何でも揃う京都でもできなかったんだから」
髙倉氏の語り口は軽妙洒脱。だが、その中身はずしりとした重みを持つ。
昔は一つの地域に住み着き、仕事に明け暮れていた着物作家。本当によいものを作る人と出会うため、高倉氏は全国を訪ね歩いたという。また、着物を染める職人と帯を織る職人は当然異なる。各工程に必要な専門家を選び抜き、総力を結集した。
各国の大使館にヒアリングを依頼し、国の歴史や文化の理解に努め、それを表現したデザインは、涙を流して喜ばれることもあれば、考え方の違いから反発を呼ぶこともあった。
「できあがるまでは我慢でした。今だからこそやっと話せます。僕が何を言いたかったのか、どうしてやりたかったのかということを」

着物業界に「倍返しだ!」

[久留米シティプラザ]で“KIMONO”をお披露目

古田すごいプロジェクトですよね。着物を実際見た時は圧倒されましたよ。きっかけは何だったんですか?

髙倉いくつか大きな背景があって。一つは、残念だけど僕からすると着物と言える着物がほとんどなくなってるわけですよ。

古田と言いますと?

髙倉成人式だって90%以上の人がインクジェットで印刷された着物を着ているんですよ。これはある意味、ごっこをしているだけ。僕はこれが非常に悔しい。これまでも努力してきたけれども、なかなか流れを変えることができなくて。東京オリンピックが開催されるにあたって、おそらく着物がどこかで活用されるだろうから、そういう場所にふさわしい和装がちゃんとあったらいいなと。表面だけなぞってもらってもね。

古田今日の僕の着物もごっこと言えば、ごっこかもしれませんね。

髙倉そうそう、自分のものにできてないでしょ? 今の着物はやっぱりビジネスライクになり過ぎてしまっている。儲かっていてもしちゃいけないことがあるわけですよ。商売人の中にもなきゃいけない価値観があるわけで。テレビでこれだけ『半沢直樹』がウケたのは、たぶんその価値観がおかしいなぁっていつも思ってる人がいるからなんだよ。自分では言えなくても言えない気持ちを代弁してくれてる。だから、痛快。

古田あれは気持ちいいですよね~。

髙倉僕の仕事の中にも同じようなことがあって、決算書は立派だけど、やってる仕事は最悪じゃないかって思うことがいっぱいある。着物には人を感動させる力があるし、何十年経っても人に訴えるものがある。そういうものを今回作ったわけですよ。

古田素晴らしいと思います。

髙倉今回たまたま世界をテーマに作って、日本人だけじゃなくいろんな国の人に響いたわけだから、僕にとっては〝倍返し〟になったよね。

古田確かに(笑)。オリンピックでまた注目を浴びると嬉しいですよね。

髙倉紙に書きにくい価値観なんだけど、黙って着ていても実はそれがものすごい時間をかけていて、ものすごい一流の人が作っているって、奥ゆかしいおもてなしでしょ。

あなたにできることは何か

「いいものはいいと思ってくれる人がいて安心した」と髙倉氏

髙倉わからない人にはわからないかもしれないけど、そういうものってスピリッツと一緒に伝わってきているものなんです。やっぱり縦軸がしっかりしてないと。僕が持ってる引き出しというのは、僕が作ったものじゃなくて、祖父が始めたということがあって、父や母がやってきた仕事の中から得たもの。今回のことは自分のたかだか何十年の人生で成し遂げられたものじゃないんですよ。

古田受け継がれてきたものなんですね。着物はすべて完成したわけですが、今後はまた何か考えてらっしゃるんですか?

髙倉そうそう、だから作ったはいいけど、今度は今着物を作っている人たちはどうやって食べていけばいいのか、それが問題。彼らに収入が入る仕組みとか考え方とか、そういうものを考えていくことが僕にとってはセカンドステージよね。

古田は~すごい! 今からまたスタートなんですね。

髙倉今度はもっと難しい仕事が待ってるよね。でも、僕が言いたいのは、僕は決して特別な人間じゃなくて、「あなたにはあなたにできることがあるはず」ということ。自分にできることで、日本のためになること、みんなのためになることを考え出してほしいんですよ。きっとあるはずだから。それを見つけることが人生で大事なことのような気がするんです。

古田なるほどですね…。

髙倉本業は一生続くわけだけど、個人においては、なんて言うの、生まれてからなんでこういう風になってきたのかなと思うけど、それに必然性ができたらいいよね。自分のやりたいことにブレがなくなるから。

古田今は自分を成り立たせるのに精一杯ですね、家族のこととか。

髙倉成り立たせるのって、僕だってできてないかもしれないんですよ。でもどうせ人は死んじゃうわけだし、家族はどうにか食っていくさ(笑)。理想のパパ、理想の上司でいるだけじゃね。そんなのみんなできないよ。

古田ほんとですね。僕も本分みたいなものを見つけたいです。

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久留米シティプラザ
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電話 0942-36-3000
住所 久留米市六ツ門町8-1
営業時間 8:30~22:30
定休日 12/29~1/3
駐車場

蝶屋株式会社

蝶屋株式会社
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電話 0942-34-4711
住所 久留米市中央町31-9
営業時間 11:00~19:00
定休日 火曜
駐車場