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株式会社 香月菜園 代表取締役社長 香月 勝昭 下を向いている場合じゃない。

下を向いている場合じゃない。

香月 勝昭 × 古田 紀久郎

こうじ夜 にて

株式会社 香月菜園 代表取締役社長
香月 勝昭 Masaaki Katsuki
1978年久留米市生まれ。北野町で祖父の代から続く農家。14年前にパクチーの栽培を始め、2016年生産量日本一となる。昨年10月、[株式会社 香月菜園]を設立。アウトドアスポーツが好きで、スノボ歴は22年に及ぶ。
cocomi 発行人
古田 紀久郎 Kikuo Furuta
1975年久留米市生まれ。豚骨ラーメン大好きcocomi発行人。その他に、クリエイティブディレクターとして数多くの広告物に関わる。この夏、SNSで水害に遭った地域の写真を見て、自分も心折れそうな心持ちに。

誰も知らなかったパクチー気付けば生産量日本一

香月 勝昭氏のパクチーが生産量日本一であることを知らせたのは、有名バラエティ番組から掛かってきた1本の電話。農林水産省の統計データによると、2016年、国内生産量の24%を占め、他の生産地の追随を許さないことが発覚したという。
香月氏の家は元々、サニーレタスやグリーンリーフ、サラダ菜などの葉物野菜を作る農家。14年前、夏場の収入を安定させる新たな作物をと見つけてきたのが、当時は名前もあまり知られていないパクチーだった。 「その頃はコリアンダーと呼ばれていて、完全にどマイナー。父の代からそうなんですけど、人と同じことをするのが嫌いなんですよ(笑)」
しかし、生産者が少ないために教科書もなく、消費者が根付きで欲しいのか、葉だけを求めるのかさえわからなかったという。その後、日本にパクチーブームが到来。ひたすら試行錯誤を重ねてなり振り構わず突っ走ってきた香月氏のパクチーは、需要の波に乗って気が付けば日本一になっていた。しかし、そこで大きな壁が立ちはだかる。九州北部を襲った豪雨による度重なる水害だ。
現在、農地面積は約11 haに及び、そこに76棟ものビニルハウスが並ぶ。ペイペイドームのグラウンド一面を埋め尽くすほどのパクチーを一瞬で失い、それでも這い上がり続ける香月氏の戦いの日々とは――。

4年連続の豪雨被害

作物だけではなく、ポンプや軽トラも被害を受ける

古田日本一まで上り詰めたところで豪雨の被害に遭われて…。

香月そうですね。偶数年に統計が出るんですけど、2016年に続いて2018年も1位でした。もし今回2位とかに甘んじるなら、水害での生産量低下が原因になりますね。

古田ここ2年3年連続で豪雨に見舞われてますよね。

香月4年連続ですね。

古田4年!

香月朝倉が大きな被害に遭ったのが2017年。今年7月の集中豪雨で4年連続5回目です。去年は2回きたんですよ。7月と8月に。

古田はあ~ひどい…。SNSで写真を拝見したんですけど、ほんとに水に浸かってしまってましたもんね。

香月完全に道がなくなるんです。

古田もちろん、水に浸かったら全部パーですよね。

香月パーです。2ヶ月かけて種をまいて、それからまた2ヶ月かけてやっと出荷できそうなやつがダメになって。前日に種をまいたものもダメになるんで前後に響きます。歯車が狂った状態が続くわけですよね。

古田出荷も止まるわけでしょう?

香月そうなんですよ、完全に止まるから産地としての信用も失ってしまう。やっぱり3回も4回も続くと、このままでいいのかという話になりますよね。地域的に夏は浸かる所だからとか思われたら。

古田自然災害だからどうしようもないですよね。

香月もちろん、ただ手をこまねいてるわけじゃなく、浸水防止壁というのを作ってたんですが、毎年さらにそれを越えてくる。

古田市も県もただ見てるだけじゃないと思うんですけど。

香月一応補助も出ますけど、一部だから借り入れもしなきゃいけない。返すあてが生産物なのに、そこをまたやられるんですよ。

仲間たちとともに戦う

「これからは水害のリスクヘッジも考えた経営計画を」と香月氏

古田こちらの努力をあざ笑うかのように毎年。心折れますよね。

香月めちゃくちゃ折れます。

古田それでもやめられんということだと思うんですが、持ち直す原動力ってなんなんでしょうか。

香月そうですね、やっぱり地元の農家の横のつながりがすごいんです。[JAみい]という農協に青年部があって、若手の農家さんが集まって情報を共有してるんですね。「こういう補助金が出たよ」とか、助け合いが起きるんです。そこでみんなが考えてるのは、JAみいというブランドが守られること。10年20年後、自分たちの後継者が農業をやりたいと思うような農地を残したいんです。

古田ああ、なるほど。

香月10年20年戦っていけば、結果的に自分たちにメリットがある。そういうことが私たちの先輩から脈々と受け継がれているわけです。例えば、先輩たちが最初にハウスを立てて、実習生とかを雇って、こういう手段でやりなさいって道筋を立ててくれている。自分だけそうしていれば、おいしい思いをするのに、情報共有して産地で強くなろうと。それを見ているので、私たちも後輩にバトンタッチしたいんですよ。

古田JAみいのブランドをですね。

香月そうです。最近ではJAみい、引いては福岡県産という括りになってきてる。さらに九州に広がるような一大ブランドにしたいねと。

古田仲間との連携があって地域づくりにもつながるんですね。

香月楽しいことをやってると勝手に人が集まってくるんですよね。だから、魅力がある地域を作ることが自分たちの利益にもつながるって、みんなわかってるんですよ。

古田負けられんですねぇ。

香月みんなが負けられん、負けられんって思いながら、引っ張り上げ合うんです。下を向いてる場合じゃない。悔やんでも銭にならんから。

古田ほんと確かに(笑)。

香月起きてしまったことに対してどう向き合って、どう解決して、どう平常心を取り戻そうかって、そっちに集中した方が自分も気が紛れるんです。私が下を向いてぎゅーっとしてたら、従業員も心配するでしょ。

古田そうですね、そうですね。カラ元気でもですね、演技の元気でも。

香月大丈夫、大丈夫って人に言いながら、実は自分に一番言い聞かせてるんですよ(笑)。

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住所 久留米市櫛原町122-3
営業時間 17:30~24:00(OS22:30)
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株式会社 香月菜園

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電話 090-5948-9675
住所 久留米市北野町仁王丸270
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