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有限会社エガミ 代表取締役 江上 隆彦 酒処の町にあの頃の活気を。

酒処の町にあの頃の活気を。

江上 隆彦 × 古田 紀久郎

花の露 にて

有限会社エガミ 代表取締役
江上 隆彦 Takahiko Egami
1974年久留米市生まれ。酒処・城島で生まれ育ち、祖父の代から続く酒粕卸販売業を営む。毎年恒例の「城島酒蔵びらき」で実行委員を務め、今年2月に開かれた「城島酒蔵ドライブスルー」では実行委員長として奮闘。
cocomi 発行人
古田 紀久郎 Kikuo Furuta
1975年久留米市生まれ。豚骨ラーメン大好きcocomi発行人。その他に、クリエイティブディレクターとして数多くの広告物に関わる。今まで年度末は飲み会でスケジュールが埋まっていたけれど、今年は予定がなくて寂しい。

衰えゆく酒造業界で城島の酒を守る

〝東の灘、西の城島〟と称され、日本有数の酒処として知られる城島。最盛期には70~80蔵が軒を連ね、大手銀行や映画館などが立ち並ぶ町には汽車も走り、活気に溢れていた。だが、時代の移り変わりと共に酒造業界は縮小。城島も例外ではなく、酒蔵は現在わずか8蔵に。その衰退していくさまを幼い頃から目の当たりにしてきたのが、江上 隆彦氏だ。
酒粕の販売を生業とする家に生まれた彼は、逆境に立ち向かわんと2004年に[日本酒と酒粕の店 酒乃竹屋]を新たにオープン。
「地方の小さな酒蔵が造る質の良いお酒からできる酒粕は、本当に美味しいんですよ。でも、今は捨てられることも多くて…」
大手酒造会社と差別化を図るため、中小の酒蔵は今、より高級な酒を製造する傾向に。だが、その酒粕は風味も香りも良すぎるために、例えば漬物を作ろうにも、漬ける野菜の方が負けてしまう。こうして、江上氏の下には全国各地から行き場を失った上質な酒粕が集まってくるという。
また、城島の酒の普及にも余念がない。江上氏が実行委員を務める「城島酒蔵びらき」は、来場客を年々増やし、今では10万人以上が訪れるように。そして、今年はその27回目を数える予定だった。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、初の中止が決断されるまでは――。

急遽ドライブスルーに

今年はドライブスルーで城島7蔵の酒と特産品を販売

古田江上さんは「城島酒蔵びらき」に携わってどのくらいですか?

江上えっと、もう16年くらい。今は[城島町民の森公園]で開催してるんですけど、最初は各蔵で持ち回りでやろうって話で。でももう人が増えて、蔵には入りきらんねってなって、場所を変えながら。まあ、町民の森でも手狭になってるんですけど。

古田そうだったんですか。「城島酒蔵びらき」のそもそもの目的は、城島に来てもらって、城島の良さを知ってもらうことなんですよね。城島の酒をピーアールしつつ、地域の特産品にも目を向けてもらおうと。けど、今年はコロナで…。

江上まさかの中止。ギリギリまでやる方向で進めてたからですね。賛否両論あったんですけど、やっぱ26回やってきて、それを途絶えさせたくないということで、一生懸命準備してたけど、まあ残念ながら。

古田それで今回は、「城島酒蔵ドライブスルー」を開催しようってなったんですね。

江上そう。だって、準備を進めていたってことは、イコールそのためのお酒をもう造ってるわけですよ。

古田酒蔵びらきのために造ってるんですか?

江上そりゃあもう、それくらいあの2日間で売れるからですね。酒蔵びらきがあるかないかじゃ、仕込む量も変わるくらい売れますから。

古田でも、ドライブスルーじゃ、いっぱい売れたとしても、町おこしにはあんまりならないですよね。車で買ってすぐ帰るだけですから。

江上だからね、お酒だけが売れても本来の酒蔵びらきの意味が崩れるから、地域の特産品の「志岐蒲鉾」も、「田中製麺」も、「庄分酢」も、「喜久屋饅頭」も買えるよっていうドライブスルーにしたんです。

古田超でかい道の駅みたいな感じですね。まあ、町歩きはできなくなったということなんですけど。

江上そういうことです。

古田城島の町を歩いて、風土を感じて、ああいいとこやねっていうのがいいんですけどねぇ。

江上いつものメイン会場を使った開催だったらですね、天気が良かったら、お酒を飲みながらわいわい楽しんでるわけですよ。「いい光景ですね」って皆さん言われますもんね。

古田地域の人も嬉しいでしょうね。自分の町にたくさん人が来てくれて。全盛期を知ってるおじいちゃん、おばあちゃんやったら、町に賑わいが戻ったって思うでしょうね。

江上こんなに人が城島に来るなんて、この日しかないっていう思いで皆さんいらっしゃるみたいです。ただ、我々の最大の課題は、今は2日間でやってますけど、年間通して城島に来てもらいたいということですから。「花見の頃にまた行ってみようか」とか、「5月から7月にはエツを食べに行こう」とかですね。

ハイブリッドで開催を!

「定期的に城島に行きたいと思ってもらえるように」と江上氏

古田来年はコロナ次第と思うんですけど、ちゃんと開催できたら。

江上できれば、いつも通りの開催をね。ただ、今年のドライブスルーがあまりにも好評だったので…。

古田えっ、そうなんですか?

江上大成功だったんですよ。だって、2日間かけて売る予定で用意したお酒が数時間で売り切れたんですから。だから、いつもの酒蔵びらきと今回のドライブスルーと、ハイブリッドでやるのもアリじゃないのって。さらに、秋には秋の「ひやおろし」ってお酒があるから、そういうお酒をドライブスルーで買えるようにしたらどうかって話もしてます。

古田確かに、車の方が持って帰るのは楽ですよね。

江上買い物だけがしたい人にとっては、人ごみの中とか、超満員のシャトルバスとか苦痛ですもんね。そう考えると、アリっちゃアリ。

古田アリっちゃアリですね。お酒も売れる、町の良さも伝わるで。

江上でも、ほんとにそれをやった日には、まあお酒が足らんでしょうね(笑)。今年だって売り切れだらけでどうしようもなかったですもん。

古田城島の盛り上がりに一歩近づいたんじゃないですか? 「城島いいとこよねぇ」って言ってくれる人が増えたらいいですよね。

江上「もう最近、週末は人が多かもんね」って言われる地域になっていけばいいですよね。

オトナのおすすめスポット

花の露
花の露

花の露

電話 0942-62-2151
住所 久留米市城島町城島223-1
営業時間 8:30~17:00
定休日 土日祝日
駐車場

日本酒と酒粕の店 酒乃竹屋

soda colors
日本酒と酒粕の店 酒乃竹屋
電話 0942-62-6868
住所 久留米市城島町内野328-10
営業時間 10:00~19:00
定休日 火曜
駐車場