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合名会社 山口酒造場 代表社員11代蔵元 × IZUMIYA株式会社 取締役本部長 山口 哲生 × 堤 準也 殿様に捧げる久留米400年の酒。

殿様に捧げる久留米400年の酒。

山口 哲生 × 堤 準也 × 古田 紀久郎

篠山神社 にて

合名会社 山口酒造場 代表社員11代蔵元
山口 哲生 Tetsuo Yamaguchi
1969年久留米市生まれ。天保3(1832)年創業の[山口酒造場]で11代目を襲名。日本酒の旨さに目覚めたのは、実は三十路を越えてから。
IZUMIYA株式会社 取締役本部長
堤 準也 Junya Tsutsumi
1979年鳥栖市生まれ。酒文化価値創造業[IZUMIYA]の取締役兼管理部門本部長。「久留米入城400年」の記念限定酒造りにおける陰の立役者。
クリエイティブディレクター
古田 紀久郎 Kikuo Furuta
1975年久留米市生まれ。生まれ育った愛すべき久留米で、クリエイティブディレクターとして数多くの広告物に関わる。宴会ではお酌が得意。

ただの記念事業にあらず
400年前の酒を再現

久留米藩の初代藩主・有馬 豊氏が元和7(1621)年に入城してから、今年でちょうど400年。これを記念して、久留米市を盛り上げるさまざまなプロジェクトが決行された。その一つが、「久留米入城400周年限定酒」の醸造だ。
この企画を受けて、久留米の酒文化を支える[IZUMIYA]の取締役本部長・堤 準也氏がまさに打ってつけの酒蔵として相談したのは、代表酒「庭のうぐいす」で知られる[合名会社 山口酒造場]。当蔵は、久留米城跡で5人の歴代藩主を祀る[篠山神社]にその昔から清酒を奉納し、江戸時代より有馬氏との縁は決して浅くないという。
[山口酒造場]の11代蔵元・山口 哲生氏は、せっかくであれば400年前当時の日本酒の味わいを再現したいと、「生酛造り」と呼ばれる伝統的な製法による醸造に挑まんと決意。山口氏は毅然と話す。
「神様として祀られた殿様に奉納するのに、ただ記念ラベルを貼るだけなんて、そんないい加減なことはできんと思ったんですよ」
しかし、それは200年近く続く伝統ある酒蔵の命運をかけた危険な挑戦でもあった。古式ゆかしい手法と現代ならではの技術を掛け合わせて醸造された類稀なる美酒。誕生に至るまでの経緯と、その一樽に懸けられた人々の想いに迫った。

紙一重の仕込み

天然の水のみを使い、手作業による「生酛造り」に挑戦

古田そもそも、400年前と今の酒造りってどう違うんですか?

当時のお酒って、まずお米を磨かないんです。僕たちが食べるお米って精米しますよね。お酒を造るときはそれ以上に磨くんですよ。それはお米の回りは雑味が多いから。だから、昔のお酒ってすごく雑味があったんじゃないかなと思います。

山口精米ができるようになったのは、江戸時代中期からなんですよ。

古田へぇ、そうなんですか。

山口あとは冷やす技術でしょうね。酵母菌の力を借りてお酒を造るんですけど、酵母というのは空気中にいて、酒蔵に住み着いてる酵母は美味しいものを出してくれるんです。だから昔は酒蔵の中でしかお酒ができなくて。でも、今の時代は酵母を流通させることができる。今は冷やす技術があるので、味を再現するために、蔵にいる酵母と流通する酵母を今回はミックスして使ってるんです。

古田温度調節が大切なんですね。

山口空気をあてずに自然の冷却で、何も入れずにただ蒸したお米を水につけて、2、3週間そのままにしておきます。そして、水の中にも空気中にも菌がいるので、その力を借りて毎日手でかき混ぜて酸っぱい環境を作って酵母菌を増やすという。

古田は~なるほど。

山口で、そのとき青カビとか生えたらダメなんですよ。ほんとに大丈夫かなって言いながら、ドキドキしながらやってました。

市役所で発表会をしたときも、「仕込んでるんですけど、うんともすんとも言わない発酵状態です」って言われてましたもんね。

山口聞く方は意味がわからないと思うんですけど、微生物がせめぎ合いをしている状態なんです。ほら、人間は腐ったって表現するけど、微生物レベルだと紙一重なんですよね。あんまり守りに入ると、美味しくなくなるし、味を優先すると雑菌に汚染されたりするんで。美味しい味を作る酵母だけを生き残らせるのも重要で、難しい。

こういう造りができる蔵元さんは、やっぱり設備投資がしっかりしていて、技術があるのが最低条件。

山口清潔さも必要です。

時間ももちろんかかりますし、どこもやりたがらないのが実態です。

山口危険ですからね。ほんとに危ないのは、もしこの酒が腐ると、それが空気中に繁殖し始めて、蔵に変なのが住み着いちゃう。まあ、でも千年くらいやってますからね、日本人はこんなことを。できないはずはないと思ってやりました。

コロナに負けない酒を

この日本酒で久留米の街と飲食店が元気を取り戻しますように

古田そうやって苦労されて、出来上がったお酒はいかがでしたか?

大吟醸クラスと同じくらい磨いてるんで、味の雑味がないんですよ。お米の甘みとか、お米の持つ本来の味わい、フルーティーな感じをしっかり感じ取れます。

山口気合いを入れて造ったお酒ですからね、僕もなかなか面白いと思いました。非常に甘みが強くて、こんなに甘いんだと思って。濃厚で甘酸っぱい感じです。で、甘いんですけど、酸があるんで、ベタっとならずに酸がさっと取り除いてくれる。

古田僕もこの間飲んだんですけど、おっしゃる通り、ほんとに甘くて美味しかったです。

私たちお酒業界ってこのコロナの影響を受けて、ものすごく厳しい状況で。少しでもこのお酒で街と飲食店が元気になって、少しでも利益に還元できたらというのが一番の想いですね。

山口コロナでこれだけ飲食店さんが苦しんでらっしゃって。神様よりの話になりますけれど、きっと賑わってる方が神様も喜ばれるんじゃないかと思って。コロナが終わったら、一般の人たちも街に出て、久留米がもういっぺん賑わうような姿を見て頂きたいなという気持ちです。市民が出掛けて楽しんでる姿を篠山城の上から殿様が見られたら、喜ばれるんじゃないかなと。

古田今回これを作られたことによって、日本酒をそんなに飲んだことがない若い人とかも、なんかこう、めでたいもんならとりあえず飲んでみようかってなるといいですね。

堤・山口そうそう!

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