人生の先輩にお話を聞きに行きます! オトナ空間

コーヒーバイヤー・ロースター 森 崇顕 素材を生かしたモノづくりを。

素材を生かしたモノづくりを。

COFFEE COUNTY オーナー
森 崇顕 Takaaki Mori
1980年宮崎県延岡市生まれ。自ら海外に赴き買い付けた豆を焙煎し、提供するショップ[COFFEE COUNTY]のオーナー。
久留米と福岡でコンセプトの異なる3店舗を展開する。私生活ではワインを愛してやまない。

美容室で出されたコーヒー
その一杯に火がついて

取材を終えて帰る車の中、いつものように何気なく口にした一杯のコーヒー。そのひと口にはっとした。
森 崇顕氏の営む[COFFEE COUNTY]でテイクアウトしたのは、彼が農園に住み込み、コーヒー作りを学んだという中米ニカラグアの浅煎り。ふわりと広がったきれいな酸味は間もなく消えた。
子どもの頃は家族が飲むコーヒーの匂いが好きになれなかったという森氏。きっかけは二十歳になった頃、美容室で出された一杯だった。
「身動きがとれない状況で飲んだとき、初めてちゃんとああコーヒーは美味しいんだなぁって思いました。体がほぐれるような感じがして」
それからすっかりコーヒーにハマってしまい、学生時代に札幌で出会ったコーヒー店に就職。2年間、厳しい修行生活に明け暮れたという。
「半年間は雪に覆われて友達もいなくて気が滅入る中で、マスターから厳しく指導されて。(埃を指で拭って)やり直し!みたいな(笑)。でもすごく感謝してます。自分にとって一番大事な経験になってますね」
ニカラグアでの体験を経て、2013年に自身の店を久留米にオープン。今では世界で最も著名なコーヒー豆の品評会である「カップオブエクセレンス」で審査員をも務める森氏。静かな佇まいに垣間見せる確かな想いを語ってもらった。

伝えるために手を抜かない

コーヒーというモノづくりを真剣にやることで、お客さんも来てくれるはず

ご出身は宮崎ですが、なぜ久留米でお店を始めようと?

札幌から帰ってきて10年くらい福岡市内にいました。福岡でのオープンも考えたんですけど、久留米の方がのんびり、自分のペースでできるかなと思って。実際、久留米で始めたというのは、自分にとってすごく良かったと思ってます。

久留米のどんなところが良かったんでしょう?

福岡って商人の町と言うか、どちらかと言うとモノを売る町で、久留米は割とモノづくりのエリアだなぁと思うんです。久留米絣とかですね。僕自身、売るというよりは作る方に重きをおいてたんですよ。最初はお店をするつもりもあんまりなかったんですね。焙煎した豆をカフェとかいろんなお店に送って、小売りはあんまりしなくてもいいやって思ってて。最初に出した螢川町のお店はカフェでもなんでもなく、ドリップコーヒーしかないし、イスが4脚しかないみたいな感じでした。

焙煎した豆を売ることに特化してたんですね。
それからどうしてカフェにしようと思ったんですか?

自分たちが自信のある豆を作ってもお客さんはどう淹れたらいいのか、わからないですよね。だから通町に移ったとき、これが一つの正解ですよというのを示して飲んでもらえる場所を作りたいと思って。やっぱり自分たちが責任を持って関われるところを増やしていくのは当然の流れだったのかなとは思います。

今では間口も広がってお客さんも増えてるわけですが、森さんのコーヒーの特徴とは?

どうでしょうね、単純に自分が美味しいと思ったものを出すというところなんですけど、ただ、それって自分から生み出されたものじゃなくて豆がベースなんです。豆を作ってる人たちとコミュニケーションをとって買っている豆なので、そこを汚さないように、うちのお店ではブレンドは作ってないんですよ。シングルオリジンと言うんですけど、うちのコンセプトは生産者さんが頑張って作ったものをなるべくうまく伝えるということなんです。

現地で生まれた味や想いを大切にされてるんですね。

そうですね。なんて言ったらいいでしょう、なんかしつこいんでしょうね。やっぱり納得いくものを出さないと気が済まないんで。ほんとにちょっとした微妙な差とかを突き詰めてしまうというか。生産者さんが作ったものがお客さんに伝わる過程で自分たちの仕事ってすごく大きいから、お客さんに対してもコーヒーに対しても手を抜かず、そこをちゃんとやるということかな。

責任を持って突き進む

今後はどんな展望を描かれているんでしょうか?

今までは買い付けたものを国内の商社さんに運んでもらってたんですね。自分で輸入するんじゃなくて、商社さんに輸入してもらう流れで。でも今、自社で輸入するということで動いてます。それを同業の人に販売したいと。バイヤーとして一個ステップアップしたいと思ってます。自分で輸入すると量も量なので、責任を伴うことになるからリスクもあるんですが。あと、それとは別に、コーヒーに合う焼き菓子屋さんみたいなのをやりたいと思ってるんです。独創的な面白いものを出せるような感じにできたらなぁと。以前から福岡店では販売しているんですが、例えば南米ではよく食べられるアルファフォーレスというクッキーとか。

コーヒーからお菓子まで。どんどん広がっていきますね。

あんまりお店を増やしたいとは思ってなくて、売り上げを伸ばすことにも興味がなくて。人が増えて管理も大変ですし、そういうタイプじゃないんです。やっぱりちゃんと自分でコーヒーを見たいですし、自分でちゃんと責任を持ってやれる範囲でしかできないなと思っていて。

森さんはやっぱり、経営者というより職人気質ですね。

どちらかと言うと、そちらに比重があるのかなと思います。

私の必需品
カッピングスプーン
コーヒーのテイスティングをするときに使うスプーン。海外出張のときはもちろん、取引先の商社やお店に行くときなど、常に鞄に入れて持ち歩く。いくつも所有する中で、お気に入りは「カップオブエクセレンス」で審査員を務めた際に配布された一品。重さや深さがちょうど良く、使いやすいとか。

コーヒーカウンティークルメ
COFFEE COUNTY KURUME

COFFEE COUNTY KURUME
COFFEE COUNTY KURUME
電話番号 0942-27-9499
住所 久留米市通町102-8
営業時間 11:00~19:00
休日 火曜
駐車場