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地方創生クリエイター 入戸野 真弓 筑後で人とお金を循環させる。

筑後で人とお金を循環させる。

株式会社まちのわ 代表取締役社長
入戸野 真弓 Mayumi Iritono
1981年神奈川県横浜市生まれ。2021年5月、[株式会社まちのわ]代表取締役社長に就任。地域情報プラットフォームを活用したサービスを展開する。
週末は天草で夫と息子と共に過ごし、家庭菜園を楽しむ。

東京から久留米へ
筑後の経済を回すために

「就職氷河期ど真ん中のとき、中小企業のために何かできないかなと思って。当時中小企業に一番力を注いでいたUFJ銀行に入ったんです」
入戸野 真弓氏は、[東京三菱銀行]と合併した[三菱東京UFJ銀行]で企業の融資を担当。その後、商品設計を行う部署に異動するとモノづくりの面白さに目覚めたという。インターネットの利便性を活かしたサービスを提供する[SBIホールディングス]に転職すると、スマホを使った認証サービスなどのシステム開発に邁進するように。
こうして東京で華やかなキャリアを積み上げてきた入戸野氏に舞い込んだのが、久留米に本社を置く[筑邦銀行]での任務。それは、金融サービスのデジタル化を目指す同行の希望に彼女のキャリアが合致したことによる抜擢だった。大きな期待をもって迎えられた入戸野氏に、頭取から投げかけられた様々な構想。その中で心に残ったのが「地域通貨」というキーワード。同時に、[筑邦銀行]が筑後エリアの企業に対する融資を使命に誕生した銀行であると知り、彼女の中でこの2つが繋がった。
「筑後エリアの経済を回すためには、人とお金をどんどん循環させることが必要。それを現代の形でできないかなと思ったんです」
筑後だからこそ使える通貨。その実現に向けて入戸野氏は走り出す。

お金を回すデジタル化

筑後では田主丸やうきは等がアプリを導入。久留米も検討してくれたら

地域で使える通貨。まだピンと来ないのですが、そのためにどうして会社を設立することに?

入戸野構想を練っていたところ、[九州電力]さんにも同じことを話している人がいると聞いて、お話をしたら意気投合したんですね。それで、[SBI]と[筑邦銀行]と[九州電力]の三社でそれぞれの強みを活かして一緒に始めることになりました。スピードをもって前に進むためには会社にした方がいいね、と。たぶん地域にお金を回すっていう想いが重なったんだと思います。

具体的にはどんな事業を行っているのでしょうか?

入戸野地域で発行されるプレミアム付商品券をデジタル化するということをやっています。紙をなくすことで事務負担がなくなりますし、利用者は1円単位で利用できます。あと、行政側はどこで誰が何を買ったかというのがわかるので、分析ができるようになって、次に繋げることができるんですね。意外と市外の人がこの店に来てるんだとか、だったら市外に向けてもっとプロモーションしようとか、そういう施策に。

それがどのようにして地域通貨というものに繋がるのでしょう?

入戸野プレミアム付商品券のその先にあるもの、と言うとよいかと。例えば、日田だと「ひたpay」というアプリをプレミアム付商品券で出したんです。ダウンロードして3千円チャージすると、電子商品券900円と、さらに宿泊や日帰り温泉で利用できる電子宿泊券5千円ももらえます。プレミアム付商品券は日田市民の利用者が9割くらいなんですけど、観光振興も図った内容になると市外の人もアプリをダウンロードしてくれて。そこで次なる施策を打ち出して、例えばふるさと納税をアピールすると、ふるさと納税を使って温泉に行こうとか、日田に関心のある人が増えていくわけです。

クーポンを使えるお店を訪ねてくれる人の母数が増えるんですね。

入戸野天草では子育て給付5万円の電子クーポンを私たちの作ったアプリを使って発行してるんです。システムに入っていれば設定するだけだからお金も負担もかからなくて、天草はそうやって交付金とかに関してもデジタル化に移行しようとしてます。健康ポイントというのもこれから電子化しようと。ポイントが貯まると、地域で使える「天草宝島商品券」という地域通貨をデジタルで発行して使ってもらうように。

なるほど、いろんな可能性を持つ行政のアプリって面白いですね。

入戸野最終的にはお金が地域内循環するようになればと。これが狭義の地域通貨と言われるものです。ポイントを地域通貨に換えたら、地域のお店で買えるし、お店同士の取引もできるようになって、日本円に頼らずとも地域内で完全循環する地域通貨の仕組みを将来的には作りたいと考えてます。その入口がプレミアム付商品券の電子化なんですね。

再認識すべき地域の価値

横浜生まれの入戸野さんが地域のために活動してくださるのは、どんな想いからなんでしょうか?

入戸野その地域、その地域で良さがある、強みがある。それを大切にしたいなというのが一番ですね。観光資源がなかったらもうダメだと思ってるところもあるんですけど、そんなことは全然なくて。農業であったり、漁業であったり、何かしら特色があることが伝わればいいなと。今、農村に滞在して生活体験をする「農泊」だってビジネスになってますよね。ずっとそこにいるとあまり感じないんですけど、外から来た人からすると一つひとつに価値があって、それを再認識してもらえたらと思います。

入戸野さんから見て、久留米の強みはどんなところにありますか?

入戸野人と人との繋がりですね。それは絶対的な強みだと思います。何かやろうとしたときにはビジネスができる経済規模があって、「あの人知ってる?」「知ってる知ってる」ってなるような顔が見えるネットワークもあって。それがとてもいい塩梅の魅力的な街だと思いますね。

私の必需品
リュックサック
オフィスと自宅を行き来するだけの東京での生活とは違い、福岡に来てからは日々各地を飛び回る入戸野氏。パソコンや書類を入れた大きなリュックがもはやトレードマークに。出張の際も、必要なものをパンパンに詰め込んで出掛けるそう。おかげで年に一つずつ潰してしまい、これが3代目なんだとか。

株式会社まちのわ

電話番号 092-984-4300
住所 福岡市中央区渡辺通2-4-8 薬院サービスオフィス内
株式会社まちのわ
株式会社まちのわ

<ロケ地>

JR久大本線田主丸駅

住所 久留米市田主丸町田主丸1015‐2