人生の先輩にお話を聞きに行きます! オトナ空間

第21代 久留米市長 原口 新五 楽しくないといかん。

楽しくないといかん。

第21代 久留米市長
原口 新五 Shingo Haraguchi
1960年久留米市生まれ。1989年、久留米市議会議員に初当選。久留米市議会議長を経て、2022年1月、久留米市長に。まもなく就任2年目に突入する。私生活では2匹の犬と13匹の地域猫を愛してやまない。

勉強嫌いの少年が
久留米市長になるまで

幼少期から大の学校嫌いで勉強嫌いだったという原口 新五氏。当時通っていた[福岡教育大学附属久留米小学校]の教師にもそう公言し、「将来困るよ」と言われていたとか。
「小さいときから、自分らしく生きたいと思ってました。人がしないことをやりたい、人がやってることはあんまりやりたくなかったですね」
そんな子どもの頃の沸々とした想いが、現在に至る大きな起点になっているのではと氏は振り返る。
スポーツが大好きだった少年は、社会人になるとテニスクラブのコーチとなり、その道に骨を埋めるつもりでいた。ところが、23歳のとき政治家だった父から声を掛けられ、秘書を務めることに。これを転機として、朝から晩までさまざまな人々からありとあらゆる相談や陳情を受けるようになった。
「結果的にうまくいくと、お礼の挨拶に来られるんですが、すごく嬉しそうで。そんな人たちを見ると、やっぱりいいですよね。他では絶対できないし、面白いなと思ったんです」
かくして28歳のとき、久留米市議会議員として政治家人生をスタート。29歳で結婚した際には、彼女に「60歳で市長になるよ」と宣言したという。その言葉通り、2022年1月、61歳で久留米市長に就任。それは原口氏が志す道程の一つの節目に過ぎなかった――。

40年計画を遂行する

「決めたことは何が何でもやる。挫けることはありません」と原口氏

29歳のとき、すでに市長になることを目標としていたんですね。

原口妻は笑ってましたよ。だって30年前のことですから(笑)。だけど、29歳から10年間はまず、市議会を一生懸命やりながら自分のことをやって、次の10年間は世のため人のためにやって、その後の10年間は私が市長だったら何をするのか、どういうやり方をするのかということを学ぼうと考えてました。そして、60歳で市長になって、良い仕事ができたらそこそこで辞められるといいねって言ってたんですよ。

40年計画ということですよね。

原口実は10年ちょっと前に「市長選挙に出たらどうね」って言われたこともあったんだけど、そのときはまだ議員としてやることがあったし、市長としてやりたいことは明確ではなかった。それから久留米市で4年、5年と水害が度重なって、ここ3年近くはコロナに見舞われて。この10年間、市長になったらという日記をずっと書いてたんですよ。そうやって、私だったらこうする、間違いなくやりたい、やろうと思ったから、市長選挙に出たんですね。もし結果が出なければ、市役所の議員の控室も全部片付けて、政治はやめようという覚悟でした。

その覚悟が有権者に伝わったのではないかと思います。実際、市長になられると、すぐに水害対策に着手されましたよね。

原口水害でこれだけ苦しんでるんですから、しっかりやりますよ。これはもう前々からそのために準備してきたプランと人脈があるんで、自信があります。一方で水害だからコロナだからって、あれもいかん、これもいかんじゃなくて、水の祭典も花火大会も絶対やろうと私は思ってたんですよ。どんなに不景気だって悲しいことがあったって、とにかく明るくしようと。だから、明治通りのイルミネーションも今までの倍の40万球を付けました。久留米大学や久留米工業大学などの学生さんにも加勢してもらってね。

学生さんたちにとっても、そういう町づくりに参加できるのは良い経験になるんじゃないでしょうか。

原口人材育成に関しては、ジュニアボードと言って若い人たちと意見交換もしてます。こないだは[田主丸総合支所]の若い人たちが「田主丸方面で花火を上げたい」って言うんで、実際に上げたら、「僕たちが言ったことが実現できるんですね」って、みんな大喜びでした。久留米って面白いよね、楽しいよねって言われるのは、そういうところからかなって思います。観光地があるから、施設があるからじゃなくて、やっぱり住んでる人だと思うんですよね。

奢らず、素直でいること

原口私は30年間気を付けていることがあって、「焦らず」「急がず」「怒らず」「奢らず」「諦めず」というこの5つの言葉を毎朝唱えてます。特にやっぱり奢っちゃいかんですよね。これだけはいかん。市の職員さんにも「それはいかんですよ」ってちゃんと指摘してもらえるようでいないと。そしてもし間違ってたら、「ごめんごめん」って(笑)。

素直ですね(笑)。

原口その素直さがないと、可愛くないですよね。だから、あんまりヘリクツも言いません。そういうのも全部覚悟があってやってることですから。とにかく職員さんたちには面白くやっていこうと言ってます。窓を開けて空気を変えるように言って。楽しくないといかんですよ。行政が変わると町が変わる、町が変わると地域が変わると思ってますからね。

最後に、市長の仕事を全うされた後はどんなことをしたいですか?

原口絶対やりたいことがあって、保護犬・保護猫を支援する活動をしたいんですよ。譲渡会ができるような施設を今ちょっと考えてるんですけど。それで田舎に住んで保護犬・保護猫を飼って暮らしたいですね。それとやっぱり、良い政治家を育てたい。自分が学んできたことを誰かにどうにかして残したいです。あと10年間で自分に何ができるか、何をするべきか、考えながらやっていくつもりですよ。たぶん、またやりたいことが増えるんでしょうね(笑)。

私の必需品
愛犬のキーホルダー
愛犬家・愛猫家である原口氏が可愛がっていた柴犬・ゴン。2022年4月に亡くなるまで12年間、毎朝筑後川沿いを一緒に散歩することを日課としていた。煙を嫌がるゴンのおかげで、たばこも止められたとか。今はボロボロになった写真入りキーホルダーが氏の心を慰めている。

久留米市役所

久留米市役所
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