自由に発想する。
- 株式会社 中村 代表取締役社長
中村 光予子 Miyoko Nakamura - 1976年大川市生まれ。半導体関連の企業に勤めた後、実家が営む[株式会社 中村]に入社。2015年から取締役社長を務め、2019年代表取締役社長に就任。「適当」を座右の銘に佐賀の地でエコを広めんとする。
自由な青春を謳歌し
まさかの三代目として凱旋
「子どもの頃の夢? うーん、スチュワーデス、F1レーサー、国会議員ですかね。当時、日本社会党の土井たか子委員長が人気で、女性がああいうふうに堂々と政治の世界で活躍されるのはすごく素敵だなって」
昭和30年から大川市で木材・建材を取り扱う会社を営む家庭に生まれながら、引き継ぐ意思はさらさらなく、何ものにも縛られない夢を抱いていた中村 光予子氏。中学生になると英語が好きになり、流行りの海外アーティストに夢中になった結果、大学はイギリスへ留学することに。好きなことをしてほしいという母のおかげでやりたいことをやらせてもらい自由に生きてきたと、親しみを持てる飾り気のない笑顔で話す。
大学を卒業すると、半導体関連の業界へ入り外資系メーカーなどに勤務。仕事に追われていたある日、当時社長を務めていた父から「楠を使った雑貨を作ったから、売り出し方を考えてほしい」と相談される。そこでライターである妹と共にブランディングに努め、生み出されたのが九州産の楠による“やさしい暮らし”を提案する「KUSU HANDMADE」。現在は社の主力商品となっているブランドだ。これに可能性を感じた彼女は10年以上勤めた業界を辞めて[株式会社 中村]に入社。まさかの三代目としてカムバックした中村氏の大改革が始まる――。
英語が広めた発想力
現在はどんな事業を?
中村九州産の楠を使ったアロマ雑貨と生活雑貨の製造販売、店舗では飲食とプリン専門店、それにエゴマの商品開発、企画販売を手掛けてます。別会社で農業もやっていて、エゴマの生産からエゴマ油の製造まで一貫して行っています。実は設立時からやっていた木材・建材の卸売は昨年6月に事業譲渡したんですよ。
思い切った決断をされましたね。お若くして社長に就任されて、プレッシャーはなかったですか?
中村私が社長に就任したのは8年前になるんですが、元々あんまりそういうのは感じないんですよね。でも、社長としてあるべき姿は考えました。どうあれば社員さんについてきてもらえるかなって。あんまりかしこまりったりするのは苦手で、私はおちゃらけキャラなので(笑)。だから厳しくとかは無理なんで、締めるところは締める、緩めるところは緩めるでメリハリをつけて。そこだけですかね。会社を成長させなきゃいけないっていう重圧は感じてはいるんですけれども、商品作りとか常に楽しみながらやってきたので、ストレスとかはほとんどないですね。
本当に既成概念に捉われない事業展開をされていらっしゃいますが、その発想はいったいどこから?
中村英語が好きになったことで世界が広がったという感じではあります。イギリスに行って初めてアロマとかハーブに触れたんですよ。当時日本にはまだ広まっていなかったと思います。あと食べ物ですね。留学生の子もいたので、韓国とかインドとか異国の料理に触れて、すごく経験値が上がったと思います。今では飲食店もやってるので、自然の素材を活かしながら、いろんな料理に挑戦してるんですけど、私がアイデアを出すと斬新すぎてシェフに却下されることもいっぱいあります。うちは何屋さんですかって。
引き出しがたくさんあって素晴らしいと思います(笑)。
中村だけど、ここにきてコロナとかね、自分じゃどうしようもない環境の変化もありますよね。知らず知らずの内に考え込んだりするとは思うんですけど、あんまり考えてもしょうがないから。これがね、欠点なくらいポジティブなんです(笑)。どちらかと言うと、悩むっていうよりはとりあえずやってみてダメだったら修正すればいいかなって。
新事業でさらに優しく
ポジティブ思考がさらに自由な発想に繋がっているのでは?
中村そうかもしれませんね。今年は楠を蒸留すると出るチップから作るバイオ炭という商品の開発に取り組んでます。農家さんがそれを圃場に撒くことで炭素が固定されて、二酸化炭素の排出削減量がクレジット化されるんです。要は削減基準を満たしたい企業さんに買ってもらえるんですよ。農家さんたちにこれを広めて、収入を増やしてもらう仕組みを作りたいと思ってるんです。私たちも産業廃棄物を出さないという目標があるので、自分たちでリサイクルして商品化して、また新たな価値を付けて人の役に立つものに変えていきたいんですよね。
人にも地球にも優しい商品に広がっているわけですね。
中村あともう一つの課題は食育ですね。今のように農薬や化学肥料まみれで育ったものを食べて、人が健康になりますかって。だから私たちの農業の会社では農薬も化学肥料も一切使わずに、微生物の力を借りて土地自体の地力を上げることによって作物を育ててます。でもやっぱり一般消費者の方は安いとかきれいとか、そういうものに飛び付くわけですよ。それが本当に安全で口にして良いものなのかわからずに。
確かに、安全かどうかは二の次になってますね…。
中村有機野菜や食品は値段が高いイメージなんでしょうね。自分たちの食の安全を守っていくために、負のスパイラルを断ち切って、有機農産物の振興をやっていきたいですね。
私たちももっと知識を身に付けるべきなのかもしれません。できるところから気を付けたいですね。
ecobito エコビト
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[休] | 水曜 |
[P] | 有 |