幸せの国に魅せられて。
- LANKA株式会社 代表取締役
秋山 恵利 Eri Akiyama - 1961年久留米市生まれ。10代のとき、原因不明の皮膚疾患を発症。機械設計の会社を運営する傍ら、2007年に[LANKA株式会社]を設立。低温圧搾のセサミオイルを使った化粧品を製造販売する。
皮膚病に苦しんだ20年
スリランカの奇跡
耳納連山の北麓に延びる山苞の道をゆくと、緑に溶け込んだ小さな店が現れる。柔らかな音楽が流れ、香りの良い小瓶が並ぶ店内に佇むのは一人の“魔女〟。秋山 恵利氏である。 彼女はその昔、原因不明の皮膚の病にひどく悩まされていた。16歳の頃から荒れ始めた肌は顎から背中にかけて膿が出るようになり、病院で処方されたステロイドを塗っても痒みは収まらず、ひどくなるばかり。まるで月の表面のようにデコボコになった肌を見られたくないために、人と話すことが苦手になってしまう。 そんな彼女を虜にしたのが、一人で仕事に没頭できる建設の仕事。彼女は建設会社に就職し、溶接や配管工など数々の資格を取得。のちには自身で会社を設立することに。そして、30代半ばで他社と共同で缶飲料の開発をするために訪れたのがスリランカ。ここで運命的な出会いを果たす。古代インド・スリランカを発祥とする伝統的医学、アーユルヴェーダである。現地の医師に勧められ、アーユルヴェーダで用いられるセサミオイルを使ったところ、あら不思議。20年以上もの間黒みを帯びていた肌がみるみるうちに白くなり、たった半年で病が治ったのだ。 秋山氏は今日も店に立つ。彼女を救った“魔法〟の力を人々に分け与えるために。そして、“魔法〟をくれた人々を助けるために――。
菌と助け合いながら
西洋医学で治らなかったものが、アーユルヴェーダで治ったんですね。
秋山セサミオイルを塗り続けて皮膚がキレイになったときはスリランカの皮膚科の先生もびっくりしていました。研究の結果、皮膚の微生物が増えていることがわかったんです。被験者の90%以上が良くなったということで、学会発表も3回されたんですね。私がたまたま良くなったのかもしれないし、ちゃんと証明されないと私も信用できないんで。じゃあ皮膚の微生物を増やすことによって、いろんな疾患が治るのかなと。
本当に肌がキレイですよね。
秋山私はセサミオイルで治ったから、嬉しくてたまらない人なんですよ(笑)。もう絶対に化学物質は塗らないようにしてます。それで肌に塗るのはもちろん、飲んでも良いオイルを作ろうと思ってペラデニヤ大学とかフルナ大学とかスリランカの大学と共同で開発に取り組みました。飲めるオイルを作るためには低温で酵素が生きたものじゃないとダメなんですよ。調べてみたら、アーユルヴェーダが生まれた5千年前と同じように石臼を使って搾ると良いことがわかったんです。なかなか一筋縄ではいかなくて、諦めかけたこともあります。探し求めてから納得がいくオイルにたどり着くまで3年かかりました。今は、現地の人とコツコツ搾ってます。他はみんな機械化してるから、うちくらいですよね。
現地の雇用・教育を支援
スリランカを初めて訪れたのはいつですか?
秋山35、36歳のときかなと思います。それから定期的に行ってますね。コロナ前は3、4ヶ月に1回は必ず行ってました。向こうに行くと幸せ感がすごいんですよ。スリランカは長い間内戦があったんですけど、当時は本当に物資がなくて。草履もなくてみんな裸足で歩いていて。だけど、縁側みたいな所に座ってニコニコお話をしていたり、お金がなくても幸せを感じる良い国なんですよ。子どもたちにお礼にお金をあげると、買える所がないからいらないって返されて恥ずかしかったですね。
日本なら信じられません(笑)。
秋山スリランカは仏教が浸透していて、週に1度は必ず家族で寺院に行くんですよね。「不殺生戒」を守って虫1匹殺さないし、貧しい人や困っている人を助けなさいとか、両親を大事にしなさいとか、そういうことを大切にしていて、人としていろいろ教えられる国です。でも、実際貧しくて教育も行き届いてないんですよ。それで国の教育政策もあって、うちも大学と連携して微力ながら協力してるんです。貧困層の人たちにゴマを作ってもらってまとめて買うことによって、小さい子どもが働かなくても良いようにしたりして。でも、本当に良いものを作ってくれるんですよね。
一生懸命作って頂いているんですね。子どもたちのためにも。
秋山久留米の農家さんにも貢献して頂いたんですよ。スリランカまで来て頂いて現地の人に畑の作り方を教えてもらったんですね。でも、農家さんが久留米弁しかしゃべれなくて。「ちょっと待ってくれんのー」って言っても通訳の人にそれが全然通じなくて大変でした(笑)。あと、現地の人に研修生として6ヶ月間うちに来てもらう契約もしています。機械設計の会社の方でもスリランカの人を雇いますし、これからもっと大学と協力してスリランカと深い関係を結んでいきたいと思っています。
秋山さんの行動力がなければ、なかなかできないことだと思います。ここがその拠点になるのでしょうか。
秋山そうですね。この建物は社員さんたちと一緒に自分たちの手で建てたんですけど、まだ進行中なんですよ。これから表にツリーハウスを作って、奥にアーユルヴェーダのマッサージを受けられる施設も作ろうと思ってます。スリランカの人を呼んでですね。大学の人たちの研修施設としてもやっていこうと思ってるんです。ゆくゆくは会社もこの店も経営を任せて、私は夫とスリランカに行ってぼーっと幸せ感を味わえたらいいなと思ってます(笑)。
LANKA
☎ | 0943-72-3800 |
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[所] | 久留米市田主丸町石垣1365-6 |
[営] | 9:00~17:00 |
[休] | 土日祝日※ほか不定休あり |
[P] | 有 |